鶴の泣き声５ (ページ10)

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130話ページ10

どうやら、部屋自体を隠しているらしい。
だからさっきから、静かなのね。

もしも。
莫大な霊力を持っていたら。

そう、例えば鈴音さんみたいな人。
…いとも簡単に見つけ出してしまうんだろうなぁ。

そもそも、彼女の近侍が、彼女を危険な目に合わせないか。
凛とした、歌仙兼定を思い出し、身震いする。

怖そうだよなぁ。

青)「どうする？」

あ)「うーん、多分今ここは地下っぽいよね。一先ず全部屋見ながら上に上がる階段でも探そうか」

青)「うんうん、それがいいねぇ」

蘆)「はっ。この程度、あんたの婆さんなら一発で見つけられるんだけど？」

あ)「…あいにく、私は霊力は普通なので」

蘆)「普通…？普通の人間が、霊力もない場所で二振も呼び出せるわけないじゃない！」

それは青江の霊力を使ったから。
死んでも言えない言葉を頭の中で唱える。

青江の霊力で話し、二振を呼んだ。
逆に私の霊力で、青江を呼び出し、自分の腕についた結界を解いた。

いつもよりも倍の霊力を使ったため、お互い消耗が激しい。
青江が戦えなくなるのを恐れ、これ以上は使わないことにしてる。

キィキィ怒り始める蘆屋を尻目に、奥に進んでく。

あ)「ここ？…からはしないよね」

青)「ここでもなさそうだよねぇ」

困った。
前後不覚、だ。

蘆)「…あと少し。あと少しでーー」

ブツブツ呟く彼女から、狂気が見え隠れする。
その顔に見覚えはないから、やっぱり私を誰かと間違えてるのだろう。

青)「おや…？この部屋は何だかーー」

蘆)「ーーーかかったな」

あ)「！？あお…っ！」

青江がドアノブに触れた瞬間、文字が浮かび上がる
そのまま青江の手の周りに絡みつく

…しまった。
油断した。

青)「…っ！？ゔっ…」

右手を抑え、うずくまる

蘆)「あは、あはは、あはははーー…ざまぁみろ」

あ)「青江！」

蘆屋を押しのけ、青江に近寄る
青江の額には汗の玉が滴りおちる

腕の文字は、封印の一種に見える
それをよく見ようと、青江の服に触れた

青)「触れるな！…触れちゃダメだよ、君に移ってしまうかもしれないからね」

ははっと笑い顔を見せてくれるが、弱々しい

あ)「…ごめん、青江」

青)「君のせいじゃないさ。僕の不注意だ」

蘆)「ねぇえ？そのコ、もう右手は使えないわねぇ？使い物にならない。そんなコ、なぁんの価値もないわ？」

あ)「…っ」

蘆)「あら、物騒。だけど貴方がカレを握った所で扱えないわよ」

その通りだ。
私じゃ青江を振るえない

蘆)「役立たず」