鶴の泣き声５ (ページ6)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:55,617 hit

126話ページ6

大丈夫。
私よりも、あの子達の方が辛いんだから。

それを言い聞かせて、息を整える。
…せめて。

せめて目だけでも自由になりない。
腕に絡みつくのは、結界。

確認すれば、解けるかもしれない。
彼女達が私よりも格上の血を持ってたら、無理だけど。

膝)「…主、何か一つは解いてあげたらどうだろうか」

蘆)「嫌よ」

膝)「せめて目は…」

蘆)「何？情でも湧いたわけ？たった1、2ヶ月過ごしただけの小娘に？」

膝)「そうではないが…」

本)「いいじゃないか。目ぐらい外したとして何が出来る？それに、歪んだ顔が見たかったんじゃないのか」

少し間があくも、数秒後には”そうね”と声がする。
…外してもらえる？

シュルッと紐が解く音がして、視界が開けた。

蘆)「はぁい、どぉ？久々に開けた視界わ」

涙でぼやけるが、確かに見えた。
青江達とは違い、真っ白い場所にいた。

光が少し眩しい。
ドアップの蘆屋と、注射器を持った本郷。

離れた場所から見る膝丸。
…何、心配そうな顔してんのよ。

ってか、さっきぶっ刺されたのは注射器だったらしい。
何も喋れないから、キッと睨む。

蘆)「…その顔。ほんっとアイツに似てムカつくのよねぇ？…ねぇ！」

パンッと叩かれ、またもや涙が出る。
…悔しい。

本)「落ち着け。こいつの名目は、一応被験体だ。顔に殴り後なんてあったら可笑しいだろう」

蘆)「かまやしないわよ。揉めたら手が当たりましたーとか、言っとけばいいのよ」

本)「お前なぁ…。…まぁいい。とりあえずお前は休め。これ以上癇癪を出されたら困るからな」

蘆)「嫌よ！絶対嫌！」

本)「…膝丸、悪いが連れてってくれ」

膝)「承知した」

蘆)「ちょっと！！離しなさい！離しなさいってば！！」

きゃんきゃん言いながら、蘆屋は出て行った。
…正直、ホッとした。

あの人は怖い。

本)「ったく。…なぁ、大丈夫か？すまないなぁ」

だったら返してよ。
本郷の事も睨む。

本)「あー…言いたい事は分かる。が、俺にはどうにもできないからさ」

声が出るなら罵ってやるのに

膝)「本郷、代わるぞ」

本)「ん？あー膝丸か。…そうだな、蘆屋は大丈夫か？」

膝)「主は今食事を摂ってる所だな」

本)「そうか。…じゃあ宜しく頼むな」

本郷はもう一度私を見て、膝丸の肩に手を置き出てってしまった

膝)「…君には悪い事をしたと思ってる」

唐突に話し始める膝丸

膝)「何処の輩か分からない俺に、優しくしてくれた」

懺悔にしか聞こえない私は、最低だろうか