鶴の泣き声５ (ページ29)

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149話ページ29

あ)「伽羅、茜さん、知ってる？」

伽)「…！…何故、知ってるんだ？」

あ)「乱から、話聞いたから」

伽)「…ッチ」

乱の話は、茜さんと伽羅と燭台切さんは3人仲良しだったそう。
その内、茜さんと燭台切さんは恋仲で、伽羅は密かに片思いしてた、みたい。

ま、乱目線だけどね。

あ)「最後、どうなったか分かる？」

伽)「…知らない」

あ)「そっかー、だよねー」

伽)「…気づいたら、あの女は居なくなってた」

あ)「、」

伽)「俺はそれでよかったと思っている」

伽羅が、見たこともない顔で話ている。
優しい、顔。

鶴丸が。
おばあちゃんを見ていた時の顔だ。

…乱、貴方の目は凄い。
伽羅は茜さんが好きだったのだろう。

今も、昔も。
ずっと想い、焦がれてる。

あ)「ねぇ、会いたい？」

伽)「…別に。興味がない」

あ)「…そっか。ありがとう」

伽)「…」

探してみようと思う。
伽羅のためだけど、それだけじゃない。

なんだか、その人と友達になれる気がした。

さて。
何処から手をつけようかな。

あ)「前任のデータを調べますか」

髭)「おや？こんな所にいたのかい？探したよ」

あ)「ひーちゃん。悪いけど、今からやる事があるの」

髭)「うん？それは大変だねぇ」

そう言って、私を持ち上げ、そのまま座る。
私はひーちゃんの膝の上。

あ)「ひ、ひーちゃん？」

髭)「僕はね、寂しくて死んじゃいそうなんだよねぇ」

あ)「…甘えん坊だなぁ」

髭)「ふふっ。人の体はあったかいねぇ」

あ)「あら、私を湯たんぽ代わりにしてるわけ？」

髭)「うん？君だってあったかいだろう？」

あ)「まーね」

ふふっと。
ひーちゃん独特の声で笑う。

髭)「おや？これは政府専用のファイルにみえるけど」

あ)「あー、実はパピーに内緒でパピーの手帳を見ちゃったんだよねー」

暗証番号やらなんやら。
記憶させてもらった。…勝手に、だけど。

パピー、私が言うのもアレだけど、不用心すぎやしないかい？

あ)「…あった」

鶴丸の、前の主。
その顔の上にはバツ印が付いていた。

…気難しそうな、お爺さん。
そう感じる。

あ)「えーっと、安齋寅之助。審神者名、寅。85歳永眠。…案外、歳いってたんだ。妻は一般人、霊力なし。一人息子は審神者じゃないんだ」

寅さんの個人ファイルには、個人情報がズラリと書かれていた。

あ)「…あ、これだ。二人の孫に、審神者の素質あり。しかし現在、片割れのみ審神者になった模様。その本丸、やはり黒である…は！？」

…最悪だ。