鶴の泣き声５ (ページ18)

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138話ページ18

あ)「…安定、今日はもう寝ようか」

安)「分からない。分からないよ…」

あ)「大丈夫だから。…おやすみ」

安)「僕の、あるじ…」

安定を布団の上に横にさせると、スッと寝てしまった。
どうやら、歌仙より安定の方が状況がいいらしい。

乱)「…これから、どうなっちゃうの？」

あ)「どうもしないよ。明日には皆で本丸に帰ろうね」

乱)「…うん」

あ)「鶴丸、青江は？」

鶴)「あぁ、こっちだ」

あ)「わかった。…乱、また後で行くね」

乱)「約束だからね」

あ)「えぇ」

部屋を出て、鶴丸についてく。
その間は、無言。

私も鶴丸も何も言わない。
…いう事が無い。

鶴)「ここだ」

あ)「ありがとう」

鶴)「…あまり気負うなよ」

あ)「…」

鶴丸の言葉を聞き、そのまま部屋に入った。

青)「やぁ、A」

あ)「…青江」

青)「その様子じゃあ、具合はいいみたいだね」

あ)「うん。青江、付き添ってくれてたって聞いた。ありがとね」

青)「どういたしまして」

あ)「…青江、調子はー」

青)「いいよ。…と言いたいんだけどねぇ。腕の事、聞いたんだよね？」

あ)「…ん」

青)「僕はもう二度と、刀を振るえないらしいねぇ。いやぁ、参った参った」

ニコニコと笑う青江。
…気を遣わせてしまった。

あ)「…私が、どうにかするから」

青)「うん？」

あ)「私が絶対に青江をー」

青)「無理だよ。…これは、無理だ」

あ)「青江…」

青)「分かるんだ。だから、そんなーー期待させるような事は言わないでくれないかなぁ」

どうしようもない。
成す術がない。

あ)「…っ…」

私はいつだって無力だった。
何も出来ない。

ただ、守られるだけ。

青)「…ねぇ、僕達のアレ、切れないかな」

あ)「…ぇ？」

青)「ほら、もう僕は君を守ってあげられないわけだしねぇ。あ、髭切さんなんてーー」

あ)「嫌だ。そう言ったらどうする？」

青)「…どうしてだい？」

あ)「コレだけは、切りたくない。嫌だ。コレだけはー譲れない」

コレを切ってしまったら。
彼は多分、折れてしまう気がする。

1人で勝手に消えてしまう気がする。

青)「…でも」

あ)「ダメだよ。例え青江でもそれは聞けない。…逃してあげないよ」

私が青江を選ばなかったら。
こんな事にはならなかっただろう。

きっと、怒りのぶつけ所は青江にはない。
だったらせめて、私にぶつけてほしい。

その方がきっと。
立っていられるから。

青)「…君は意地悪だねぇ」

あ)「私は意地悪だから」

青)「酷い人だ」