【忍たま】一文字【短編集】

【浦風藤内】橋 ページ10

死ネタ
成長してる
捏造あり
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「なあ、もう会えないなら、三途の川の橋の前で会おうよ」


忍術学園の入口で、藤内にそんなことを言われた。卒業したら、もう会えなくなるのを嫌ってそんなことを言ったのだろう。

三年付き合って、卒業して、身分の問題で嫁げないなんてわかりきってたことなのに。
どちらにも覚悟がなかった。

『いいよ。約束ね』

三途の川なんて、あるわけないのに約束してしまった。

●


死んだ。
戦場でくノ一の仕事してたら、誰かに撃たれてあっけなく死んだ。
まあ、即死だったからよかっんだけど。

そして目の前には、かの有名な三途の川。
まさか本当にあるとは思わなかった。

橋の前で待ち合わせしてるし、待とうと思う。

あれから五年経ってるから、あっちは覚えてるかもわかんないけど。

あいつは武士の息子。
そうそう死ぬことはないだろう。
てか、先に死んで、忘れて、先に渡ってないよね？


暇だなぁ。
誰かに会いたいなぁ。

……別に寂しくなんてないし。
そう。別に寂しくなんかない。


「あ、お前は確か、藤内と恋仲になったんだよな。喜八郎から聞いたぞ」
『あ、立花先輩。……貴方も死んだのですね』

確かにここは三途の川。
死んだら皆渡る。
知り合いが来ても可笑しくはない。

「まあ、少ししくじってな。で、お前はまさか、藤内を待っているのか？」
『えぇ、まあ。約束しましたし』
「そうかそうか。それは凄いな。……では、私は先に行くぞ。泣かぬようにな」

嵐のようだ。

それから暫く経った。
それまでに、知らないいろんな人を見た。
富豪の人とか、貧しい人とか、子供とか。
赤ん坊は、橋を渡るとき、何故か浮いていた。


「あ、梓先輩」
『ユキちゃん』
「お久しぶりです」
『私、藤内待ってるんだ』
「そうなんですか」

相変わらず冷たい。

『もう、五年は会ってなくて』
「文は送らなかったのですか」
『悲しくなるだけだから』
「先輩は生きているうちに、誰かに会いましたか」
『ソウコちゃんと数馬かな』
「ソウコ、ですか。様子はどうでしたか」
『団子を食べていたよ』
「変わりませんね」
『本当に』

ユキちゃんがいなくなる。
でも、これを貰った。
恋仲に会うんですから、身だしなみくらい整えて下さいよ。と言われて、櫛を渡された。

その櫛で髪を梳かす。
戦場で死んだため、なかったのだ。

次は誰が来るのかと思いながら期待して待つ。

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続きます

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