【忍たま】一文字【短編集】

【池田三郎次】敗 ページ19

注意
二年→六年

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三郎次は委員会から帰ってきて自室を開けた。するとそこには、お菓子を美味しそうに頬張り、爽やかな笑顔で迎える女が。


『やあ、池田君』


スパンッ

三郎次は直ぐに閉めた。


『酷い！真顔で閉めないでよ！』


女、否、白銀琥珀は閉めた障子を開ける。


「帰れ」
『本当、素直じゃないんだから。四年から付き合ってんのに冷たいのね』


琥珀は照れながらペシッと三郎次の肩を叩く。

そう。二人は四年生から付き合っている。
琥珀が最初に惚れ、三郎次から告白した。

琥珀とは、同い年。くノ一の才能は、普通。
基本的に武器は苦無しか使わないし使えない。
ただし一点縛りのため、苦無の扱いだけは上等。刀とか持たせたら全然ダメ。

体型はいい。
背は小さいが。


「それ食ったら帰れ」
『せっかくここまで来たのに』
「まず、どうやって来たんだよ…」


三郎次は座る。


「忍たま長屋に勝手に入ってきちゃダメだろ」
『私は賢いから完璧な道のりを辿るの。ま、バレなければ問題無し！』


琥珀は物凄く賢い。
普段馬鹿みたいな言動が多いが、あれは全て性格からなっているものである。


「バレなくてもダメだ」
『そう言いながら嬉しいんでしょ？ほら、どんどん顔が赤くなってー！』


三郎次は動いた。
何処にって琥珀の目の前に。

そして接吻をする。


『え、え、え、え？』
「会いに来てくれるのは嬉しいに決まってるだろ。というか、そっちから来るなんて、まさか寂しかったのか？可愛い奴だな」
『な訳』
「はあ？」


嘘である。

琥珀は相当な寂しがり屋だ。

一度戸惑ったものの、琥珀は直ぐに冷静さを取り戻した。
しかしそれは見た目だけであって、心の中では酷く同様している。


『私が？それはそっちでしょう？』
「お前最初同様してたよな」


その言葉は琥珀の心に刺さった。


「ほら、此方に来いよ。俺のと・な・り」


三郎次はニヤりと笑いながら自身の隣に指を指す。
付き合って二年目となれば、だいぶ琥珀の扱いもわかってきている。


『…普段、好きとか愛してるとか言ってくれないくせに。私は言ってるのに』


琥珀は照れながら隣に座った。
そして拗ねる。


「好きだ」


三郎次は真顔で言った。


「愛してる」


さらに三郎次は真顔で言った。


『もうやめて…』


琥珀は顔を隠している。


「接吻していい？」
『ダメ』
「じゃあ強引にやる」


琥珀は完全に敗北した。
いつもと違う、余裕のあり過ぎる三郎次に。

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