overflowing with kindness#2 (ページ31)

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廉side

全てを話終えた吉沢兄弟に

　俺、めっちゃ場違いやんて思って帰ろうとした時やった

　隣のAさんが俺の手を掴みながら

　A「じゃあ、なんで
　葬式にきてくれなかったの？」

　振り絞って出したAさんの言葉に

　俺の手を握る強さに

　俺なんかでもええから傍におって欲しいんかなって思うと

　椅子に座り直し、Aさんの手を握り返した

　そんなAさんの質問に答えたんは

　弟「亮兄は、来なかったんじゃないよ」

　A「どういうこと？」

　
俺の手をより一層、強く握りながら問いかけた

　弟「知らせてなかったんだ」

　A「そんな、嘘だよ」

　亮「嘘じゃない、俺映画の撮影で海外にいたんだ
　父さんたちの事知ったのは帰国した連絡をした時
　葬儀から1ヶ月後ぐらいだった」

A「なんで、知ってるの？」

　

　少し声を荒らげながら弟さんにAさんが聞いた

　

弟「俺、その時大学もあって3番目の兄ちゃんと住んでたのはAねぇも知ってるでしょ？」

　A「うん、大兄は結婚してたから」

　弟「父さんたちが亡くなった時、うちに大兄もきて亮兄に連絡しなきゃなって話してた時、大兄が亮兄と父さんたち亡くなる少し前に一緒に店に行ったって話きいて
　その時、母さん亮兄の活躍が嬉しいって次の映画も楽しみにしてるって楽しそうに話してたって」

　A「ｸﾞｽｯ……それで？」

　弟「その時、亮兄に連絡したら亮兄は仕事を投げ出して帰ってくるなんてAねぇも思うでしょ？」

　A「……うん」

　弟「だからだよ……」

　A「なんで……教えてくれなかったの？
　あの時、教えてくれてたら
　私は亮兄のこと、憎むなんて……」

　弟「それは……」

　亮「俺が話すなって言ったんだ」

　