overflowing with kindness#2 (ページ30)

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Asaid

　亮「慣れない環境に仕事でやっと家に帰って来れてさ
　お前らのくだらない学校での話とか聞いてるだけで
　癒されたっていうか、ここは俳優とか関係なく
　俺が帰る場所ってなんも変わらないって思ってた」

　そんな風に思ってたなんて知らなかった

　亮「だけど、週刊誌のゴシップから
　俺が書かれるだけならまだしも家族が書かれるようになってて、それは俺がこの店を実家だってAを妹だと認めたからだって」

『それに嘘なんてない、事実を言っただけじゃない』

　亮「そうだよ、俺も事務所もそれで終わるって
　だけど、実際はそんな優しい世界じゃなかった
　結果、家族のあることないこと書かれて
　お前には楽しいはずの学生生活を辛い記憶にさせた」

　肯定するのが正解なのか

　否定するのが正解なのか悩んでると

　亮「そんなとき弟からAの話きいて
　父さんからしばらく帰って来ないでくれって
　俺も、父さんと同じ様に帰るこの場所を守りたくて
　出ることに納得したんだ。
　次、俺がここを訪れても守れるそれぐらいになって
　帰って来れるようにって
　自分に言い聞かせながら仕事に打ち込んだ」

『なんで、亮兄が出ていったからって
　私の学校生活も周りの目も変わらないじゃない！
　だったら、傍にいて堂々と家族でいてくれたら
　それだけで私は良かったのに』

　初めてだった、こんなに思いのままに言葉を吐いたのは

　亮「そうだよなぁ……
　でも、あの時の俺と父さんは
　俺がここを離れることが
　ここじゃなく俺だけに目を向けられることで
　ほとぼり冷めることしか思いつかなかったんだよ」

　

　私の知らない亮兄の家を出た理由が

　私たちを守るそんな決断に

　1人でそんな風に思いながら

　頑張ってたなんて

　かける言葉が見つからなかった
　

　