overflowing with kindness#2 (ページ26)

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Aside

『確かに、亮兄は来てなかったけど連絡は取り合っていたんです。家族の誰かしらが定期的に、少し経った頃3冊目の週刊誌が発売され落ち着いていた誹謗中傷がまた始まった。
　だけど、その頃からです。亮兄からの連絡も減り家の荷物が減っていて出ていったんだなって思いました。私たちに何も言わず静かに……
　それから少し経って、私は専門学校へ進学し卒業した数日後、鬱からなのか母は自ら車道へ歩き出した。
　そんな母を庇おうとして父も一緒に亡くなったんです。』

初めて誰かに話した

両親のこと

自分で口にするのって

居ないことをより実感してしまって辛いなぁ

もう、大丈夫って思えてたのに

息を小さく吐いて言葉を続けた

『なのに、亮兄はお葬式に姿を見せなかった
　来てくれるって思ってた。どんなに有名になっても
　私の中での亮兄は何も変わってない大好きなお兄ちゃんの一人だったのに……
　気がついたら黙って出ていって、両親の葬儀にも来なかった亮兄を私は、いつしか憎むようになってた
　亮兄が芸能界を断ってたらって、お母さんはこんなことしなかったお父さんが庇うこともなかった、亮兄が悪いことなんて1つもないのは頭では理解してるのに』

気がつくと涙が頬を伝ってた

涙を手で拭ってから

『だけど、誹謗中傷もデマも
　両親の死も辿り着いた先は亮兄で芸能人という事だった
　だから嫌いなんです。
　芸能界、メディア関連の人
　知りもしないのにある事ない事かいてそれを生業とする人達が』

私が最後まで告げると

沈黙がうまれる

そう思ったのに

店のドアが開き振り返ると

「それは違うよ」

そう呟いたのは弟で

後ろには久しぶりに姿をみた

亮兄が立っていた