overflowing with kindness#2 (ページ20)

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Aside

　聞きまわる男性から遠ざかるように

　店に着き、勢いよくドアを開け

　中に入ると、力任せに荒々しくドアを閉めると

　弓削「Aさん、おかえりなさい
　どうか……されましたか？」

　息を整える私を心配して声をかけてくれた

『今、1本向こうの道で人気アイドルがこの辺で訪れるって』

　弓削「はい？」

『その場所を……探してたみたいで』

　弓削「Aさん、１回落ち着いて
　深呼吸……深呼吸……」

　そう弓削さんに落ち着かせてもらい

　先程見た光景を伝え

　グラスに入れてもらった水を1口飲んだ

　

　弓削「なるほど、それで早足で店に到着したと」

　頷く動作だけをして

　

　自分を落ち着けさせていると

　弓削「その男性はなにものでしょうね
　週刊誌の記者もしくはSNSでの目撃情報を流して
　一目を置かれたいとかですかね？」

『そんなんで一目なんて置かれるんですか？』

　弓削「その情報をみたファンの方々がその店に訪れて同じ場所に座るだとか同じものを食べて共有する
　それだけでも嬉しいもの見たいですよ
　その情報提供者はそれが事実であればもてはやされる」

『それだけならいいですけど
　その芸能人が頻繁に訪れたり、店との関わりを
　根掘り葉掘り聞き回ってあることないこと書かれたら』

　弓削「過去にあったんですか？
　そのようなこと」

『へっ？』

　弓削「少し、不思議ではあったんですよね
　このお店、広告や宣伝もされない
　そして、Aさんはメディアを遮断される
　今どきの若者にしては珍しいなくらいだったのですが」

　聞いていいのか躊躇う弓削さんが一呼吸置いてから

　弓削「永瀬様が芸能人と分かると
　まるで芸能人という職業を毛嫌いするかのように
　店への招待を悩まれていた
　違いますか？」

　確信をついてくる、弓削さんの質問に

　家族に起きたこと

　そして、私に起きたこと

　もう全て話してしまおう

『私の兄は俳優の吉沢亮……なんです』

私がそう言うと

　廉「俺もその話聞かせてもらってもいいですか」

　ここにいるはずのない永瀬さんが言葉を発していた