師匠の知り合いと旅をしています【カイト】 (ページ39)

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調査三十五日目ページ39

数百数千と重ねた打撃が僅かではあるが
王の内部に鈍い痛みを蓄えつつあった

しかし

ネテロの右足は

王の攻撃により

やられた

メルエム「止血しろ.そして余の名を言え.

貴様はよくやった.人間としてはな…」

出血し続ける

メルエム「どうした？早くせぬと失血で死ぬぞ？」
ネテロ「笑わせんな」

足を叩くと開いた傷口が閉じた
メルエム「ほう…」
ネテロ「誰が死ぬって？ラッキーパンチで調子に乗んなよ.勝負はこれからだ」

メルエム「全く持って感服する気力が衰えていないのは脅威だ.だが貴様が脚を失ったのは半ば必然.握手とは言えぬまでもせいちゃくではない防御が招いた結果だ。貴様が無意識に嫌う型……その存在が本来無限であるはずの選択に標を示すのだ。次は左腕をもらう」

そこからの攻防は時間にして一寸に満たなかったが

"生涯最後"

その覚悟ではなったネテロの百式は

千を超える拳のやりとりとなって

両者の間に無数の火花を生んだ

そして

その瞬間は訪れた

僅かにあらわれる技の偏り

癖や傾向・型とよぶにはあまりに乏しい

"ゆらぎ"

身を盾にネテロの拳を受け続ける事で王は

その先に見える幽かな光を探し出しそして

たどり着いた

左腕をやられた
メルエム「これで気が済んだであろう.さあ述べよ.余の名を」

ネテロ「くっく蟻の王」

腕がなけりゃ

祈れねぇとでも？

祈りとは

"心の所作"

百式観音

心が正しく形を成せば想いとなり

想いこそが実を結ぶのだ

"零の掌は"

敵背後から現れし観音が

有無をいわさぬ

慈愛の掌衣でもって

対象を優しく包み込み

先日キルアが数里も先からその殺気に気づき

進路を変えて精神統一の業を経て蓄積した

ネテロの

懇親の全オーラを

目もくらむ恒星の如き

光弾に変えて撃ち放つ

"無慈悲の咆哮である"

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
ネテロは窶れていた

メルエム「個の極地.素晴らしい一撃であった」

零でさえも………………

メルエム「余はない蟻の王として生を受け生命の頂点に立つことを許された.それは種全体の本能に基づく悲願であり種全体が余のためだけに進化する.我は種全体の惜しみない奉仕の末たどり着いた賜.お主は人間の一個であって王ではなく余は種のすべてを託された王であること.それが勝敗を分かつ堺!!だが繁殖に人類を利することはなくなった.人間の強い"我"が蟻の統率を著しく乱すことがわかった故きさまに免じ特区を設ける」→字数