忘れられない列車の旅路 ページ6
入室を許可された赤毛の男の子はちょこんと座ると、ハリーを見て言った。彼の興味はハリーに注がれているらしい。
「僕はロン・ウィーズリー、よろしく。ねぇ……君って本当にハリー・ポッターなの？ フレッドたちがそうだって言うんだけどさ……」
「ウン」
「じゃ、君、本当にあるの？ ほら……例のあの人に……つけられた、傷……」
Aは思わずハリーを見た。ハリーはAに大丈夫だと言うように微笑んでから動じることなく、片手で前髪を掻き上げる。
────くっきりと刻まれた、稲妻型の古い傷跡。
生々しくも痛々しくも、形遺った跡にAは息を呑んだ。
「生き残った選ばれし子」と言われていても万が一のことがあれば、ハリーはこの場にいなかったかもしれない。
そんな未来があったのだと目の当たりにしてしまう。
そんな英雄の証を見てロンは「ウワーッすっげえ」と驚き感嘆の言葉を告げハリーも笑顔を浮かべていたが、やはりAはいい気分にはならなかった。
「……ぁ、それで、君は？」
ほんのりと顔を赤くしたロンにハリーは思わず視線を送ってしまったそのとき、
──「おい、ロン」
三人が目を向けるとそこには男の子と同じ燃えるような赤毛の二人が立っていた。
鏡合わせしたように、全く同じ顔が二つ並んだ光景にAは目を疑う。
「なぁ、俺たち。真ん中の車両あたりまで行くぜ……リー・ジョーダンがでっかいタランチュラを持ってるんだ！」
表現するように、両手で大きな円を描く一人にロンは呆れたように頷いた。
「おっハリーじゃないか！ 俺たち、お前に自己紹介はしたっけ？ まぁいいや……俺はジョージ、こっちが相棒のフレッド！ ホグワーツにはウィーズリーは腐るほどいるから名前でよろしく！」
双子はハリーと握手を交わした。
「してハリー………そっちのとってもキュートな彼女はお前のガールフレンドかい？」
ニヤッと明るい青の瞳がこちらを向く。
そのとき、大きな音がしてAは視線を移すと、ハリーは真っ赤な顔になって席からひっくり返っていた。
Aが目を白黒させていると、飛び上がるようにハリーは先程の言葉を反駁した。
「ち、違うよ！ さっき初めて話したんだ！ コンパートメントが空いてなくて座らせてもらったんだ。彼女、Aっていうんだって、A・ヴィトグレーデ！」
その瞬間ハリーは時が止まったように感じた。Aはちらりと石のようになった彼らを見上げた。
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つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
