ハロウィーンの騒ぎ ページ47
「あのね……ハーマイオニーの代わりなんてどこにもいないの。正義感が強くて公正で、とっても素敵なハーマイオニーのことが私は大好きよ」
目を見開いたハーマイオニーに、Aはふんわりと微笑んだ。
「だから、あっち行けだとか寂しくなるから言わないで。嫌なことがあったり悲しいことがあったりしたときも、隣にいさせて」
おずおずとハーマイオニーの手が背中に向かうのを感じてAは目を細めた。
「さぁ、ご馳走を食べに行きましょう？ ずっと朝から楽しみにしてたのにかぼちゃパイとバームブラックを食べてないの、禁断症状が出てもおかしくないのに耐えているのは私って偉いでしょう？」
「Aってば……本当にスイーツのことだけなのね！」
呆れたように笑うその目は、真っ赤に腫れていた。泣いていたんだと心が痛む。トイレから出ようとした瞬間、悪臭が鼻をついた。
足を止める。
「何かかしら……何か、聞こえるわ」
唸り声だろうか、と眉根を寄せたそのとき、巨大な足音が近づいてくる音がその場に響き渡った。地響きのように空間が揺れる。
トイレの出口から見えたソレにAは口を噤んだ。
「嘘、トロールだわ……そんな、どうして、ここに……」
棍棒を引きずった巨体の恐ろしく醜い姿。悲鳴を上げるハーマイオニーを庇うようにAは前に出た。ごくり、と喉が鳴る。
「大丈夫よ、何とかなるわ。私がいるわ……何？ 私を誰だと思ってるの、天下のヴィトグレーデなのよ」
───そのとき、トロールがこちらを向いた。
「来るわ！ 伏せて！」
棍棒を振り回してくる。
Aたちの頭上を通り過ぎ空を掻っ切った棍棒は壁をぶち破った。鏡が無惨にも割れ、水が大きく吹き出す。瓦礫が落ちる音が耳を劈いた。きゃあ！とハーマイオニーが震える身を縮こませる。
Aはお構い無しに暴れるトロールに杖を出した。
「
振り上げた棍棒がトロールの顔にぶつかる。ほっと安堵したのも束の間、怒ったトロールは臭い息を吐いてAめがけて勢いよく走ってきた。
抱き締めていたハーマイオニーを突き飛ばした。守り切れないと思った。彼女の叫び声が聞こえたがその場を動かなかった。目を固く固く瞑ったそのとき、声が響いた。
「──おいっ、こっちだ！ Aを見るな！ こっち向け、ウスノロ！」
トロールは唸ってピタリと止まり、その誰かを掴んで持ち上げた。
「嘘、ハリー？！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
