ハロウィーンの騒ぎ ページ46
すん、と鼻腔をくすぐる甘〜い匂いにAは勢いよく飛び起きた。
この匂い、かぼちゃパイだわ！ ご馳走を思い浮かべてニヤケながら支度し始める。
パジャマを脱いで真っ白なワイシャツにいそいそと袖を通していると、シーツが擦れる音が聞こえた。
「おはよう、A」
「おはよう！ ダフネ！」
ベッドを滑り下りてダフネは近寄ってきた。朝のハグをして話を始める。
今日は待ちに待ったハロウィーンね。そう微笑みかけるダフネにAは大きく頷いた。
「ハロウィーンの宴が楽しみ！」
・
──「なんですって？」
Aの浮ついた気持ちは一気に氷点下まで下がっていた。豪華絢爛に装飾され賑わう大広間で笑顔を浮かべていないのはAだけだった。
Aはハーマイオニーを探していた。寮関係無く座れる今、どうせなら時々しか話せないハーマイオニーと一緒に宴を楽しみたかった。
「………なんてことを言ったのよ！ どうしてそんなことを……！」
凄むAにロンはビクッと縮こまる。止めようとするハリーだったが、蛇のように鋭い眼に後退りしてしまう。
「あなたたちなんかもう、知らないわ！」
居場所を教えてくれたグリフィンドールのラベンダーとパーバディに礼を告げてハーマイオニーのいる女子トイレに駆けていった。
・
「………ハーマイオニー？」
扉の奥でハッと息を呑むのが聞こえる。
「もしかして………A？」
その声はとてもか細かった。いつものハーマイオニーのキビキビとした快活な声が嘘のように思えるほど、弱々しくて心配になる。
「……私、ハーマイオニーと宴を楽しみたくて探してたらここにいるって聞いたの」
「……ごめんなさい。私、今食事する気分じゃないし誰とも話したくないの。お願いだからどこかに行って」
Aは、嫌よと片眉を上げた。
「……私じゃなくてグリーングラスやハリーたちと食べたら？
同情は要らないわ、あなただって本当は彼らの方が良いと思ってるんでしょ？」
「私は、ハーマイオニーと食べたいの」
彼女は何も言わなかった。
「たとえ食欲が無くても甘いものなら食べれるわ。無い食欲を湧かせてくれる、何よりの栄養なのよ」
「……全く、それはあなただけよ。空きっ腹に甘いものを食べると胃が重たくなるわ」
ハーマイオニーはくすりと笑ったのを感じてAも笑った。カシャンと鍵が開く音がした。
「仕方無く……よ」
素直じゃない友達をきつく抱き締めた。
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つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
