思い出し玉と飛行訓練 ページ39
ドラコは茫然としていた。何故か、とても苦しい。胸が、痛い。何度も何度もAの言葉が頭の中を回っていた。
「──なぁドラコ、何で言い返さなかったんだ？」
グラッブの声によって現実に引き戻される。ドラコたちは飛行訓練どころじゃなくなり大広間に戻っていた。
「あんな女がなんでヴィトグレーデで、スリザリンに来たのか理解出来ないね」
「スリザリンの恥だ。ポッターやロングボトムなんかを庇って」
Aに怯え息も出来なかったスリザリン生たちが不満げに口々と罵詈雑言を言うのが聞こえた。
「どうしたんだい。大丈夫か、ドラコ？」
「……なかった」
ドラコが小さい声で独り言のように呟いた。グラッブがなんて、と目を瞬かせる。
「……何も、言い返せなかったんだ。アイツに」
その瞬間、ドラコの曇天の瞳が切なげに揺れたかと思うと、すぐに彼は何事もなかったかのようにニヤリと笑って見せる。
「それよりもグリフィンドールの連中の顔を見たか？」
ドラコの言葉にスリザリン生の話題はA・ヴィトグレーデからグリフィンドールそしてハリー・ポッターへと移っていった。
けれども、いつものように嘲笑って相槌打つドラコの頭の中はAで一杯いっぱいだった。
・
「──A！」
底抜けの明るい声にAは顔を上げれば満面の笑みのハリーが駆け寄ってきていた。
「聞いてよ、A！」
退学になってしまったんじゃないの？ そんなに嬉しいことなの？
混乱するA、ダフネとセオドールを前にハリーは天使のように笑いながら言い放った。
「聞いて、僕、クィディッチの選手になったんだ！ 最年少のシーカーだって！」
退学処分からクィディッチ選手？？
と、三人の頭の中はハテナマークで埋め尽くされる。
「だからね、クィディッチの選手に……」
ハリーが言い切る前にAは叫んだ。
「……う、嘘！ 本当なのね？！ 凄いわ、凄いわハリー！」
喜びを抑えきれないといった様子のAは花咲く笑顔で、ハリーを抱き締める。柔らかい体温がハリーを包み込んだ。ふわりと香る甘い匂いにハリーはクラクラしてしまう。
「……A、ポッターくんが困ってるわ」
ダフネの言葉にAは我に返ったように離れる。
「ご、ごめんなさい……嬉しくて、つい」
顔を真っ赤にして俯くAにハリーを含めた全員が笑った。
「にしても一年生でクィディッチ選手なんて……君って本当に凄いんだね。ポッター」
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つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
