思い出し玉と飛行訓練 ページ37
全員の視線がドラコに集まる。スリザリン生の多くがその声に同調するように陰湿に嗤って、ネビルを馬鹿にした。グリフィンドールのパーバディが咎めたものの効果はなかった。
「この思い出し玉を握れば尻餅のつき方を思い出したろうに」
ドラコはネビルの落とした思い出し玉を拾うと、更に馬鹿にする。
Aは中心で嘯くドラコを睨みながら、箒を握る手の力を強めた。魔法薬学での失敗はしてはいけないと己を律するがストッパーは今にも壊れそうだった。
「マルフォイ、返せよ。それはネビルのだ」
全員がはっと振り返ると、そこには険しい顔をしたハリーが仁王立ちしていた。途端、今までの喧騒が嘘のように静まり返る。
人混みを掻き分け前に出たハリーにドラコは負けじと強く言い返す。
「嫌だね。ロングボトム自身に見つけさせる。あぁそうだ……屋根に置こうか。僕からこいつを取り返したいんだろう？ どうした、ポッター？ ついて来られないのか？」
「いいから、こっちに渡せったら！」
しかしドラコは嗤って、箒に飛び乗って浮き上がった。
ほら来てみろよ、という声に煽られ、顔を青くしたハーマイオニーが止めるのも聞かずにハリーも飛んでいってしまう。
どうしよう、ハリーが危ないわ。ハーマイオニーの呟きが聞こえた。
ハリーとドラコが言い合いする、空を見上げる。どうしよう。次の瞬間、Aは踏み出していた。
「マルフォイ！！」
地響きのような怒鳴り声に全員が身体を震わした。
「思い上がりも良い加減にしなさいよ！ そんなに下手に格好つけて、何が楽しいって言うの？！」
そう雷のように厳しく冷たく言い放つAの言葉に、ドラコは酷く苛立ちを覚えた。
僕が思い上がっている、だって？ またこいつを……、こんなグリフィンドールを庇って──そう心の中で悪態を吐くと手の中にある思い出し玉を睨みつけた。
君がそうするならこうしてやる──！
そして次の瞬間、ドラコが思い出し玉を投げた。
「だめ……！！」
悲鳴をAとハーマイオニーを含めたグリフィンドール生が上げる。
「わ、」
もう駄目かと誰もが思ったが──思い出し玉を追って、ハリーが稲妻のような速さで飛んで行った。
どんどん加速し、塔に向かって真っ直ぐに飛ぶ。ハリーは巧みに箒を方向転換させ、颯爽と戻ってきた。
その手には、キラリと光る思い出し玉が。グリフィンドール生から歓声が上がった。
「やった、ハリー！」
「さすがポッターだ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
