あれがホグワーツ特急 ページ4
「一人前の魔女となるよう努力を怠らず、ヴィトグレーデの令嬢として恥じない行いを心がけ、スリザリンの学友とは喧嘩せず仲良くしなさい」
大切な我が家の友人たちが沢山スリザリンにいるんだ。揉めるんじゃない、と繰り返す。
「あぁ……それと、我が家の誓約は絶対忘れてはいけないよ、マグル生まれや半純血とは出来る限り関わらないでおきなさい」
目の色が厳しくなる父の顔にAは顔を顰めてしまいそうになるが再三教えられた通り口を開いた。
「“我らは至極清らなり。故に純なる白は決して穢れない”、ですね」
満足げに頷いたイーサはAの頬に軽くキスをしてコンパートメントを出ようとするが、またすぐさま振り返りその大きな腕で息が苦しくなるほど抱き締めた。
「一人娘の門出だ。喜ばしく思っているのに……どうしたものかお前を笑顔で送り出してやれそうにない」
イーサのか弱い声にAは何も言えなかった。そして何も感じなかった。なのに、胸が冷えきっていくのを感じた。
「……心配は必要ありませんわ」
「あぁ、その通りだと僕だって理解しているさ。僕に勿体ないほどにお前は、出来すぎた娘だからね。だが……」
そのとき汽笛が遠くに聞こえた。もう発車の時刻だ。イーサはAの額にそっとキスをして、名残惜しそうな顔で立ち上がる。
「いつもそうね。お父様……あなたは決して、私自身を見てくれない」
プラットフォームに広がる人混みに溶けていく大きな背中に湧き上がった毒を我慢出来ずぽつりと吐いた。
Aは一息吐きながら肩を撫で下ろす。そして暫くしないうちに汽笛の音が聞こえると汽車はゆっくりと動き始めた。
車窓をガラリと開ける。ホグワーツ生の家族たちが列車に大きく手を振ってきているのが見えた。Aはその姿を遠い目で見つめた。
風が頬を撫でて去っていく。過ぎていった夏の匂いに目を細めてAは始まる“自由”が許される新生活に胸を高鳴らせた。
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つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
