魔法学校でのはじめての朝 ページ24
「ん……、」
窓から差し込んだ微かな光で目が覚める。
ぱちぱちと瞬きをして、欠伸を噛み殺しつつ伸びをした。時計の針は、朝の四時を指していた。
もう少し眠れば良かったと思いつつ起こさないようにベッドから滑り下り身支度を済ませて、部屋の扉を出来るだけ静かに開けて、そろそろと暗がりの談話室に出る。
・
誰もいないだろうから勉強でも、なんて思っていたら予想が外れた。
見えたブロンドにAは引き返した、いいや、正しくは引き返そうとした、だが……。
「──僕から逃げるのかい？」
追いかけてきた言葉にAは足を止めて勢いよく振り返った。
「逃げるとか意味がよくわからないのだけれど、私はあなたみたいな最低な人と関わりたくないだけよ」
透き通った声が談話室を反響する。冷ややかな目つきにドラコは小馬鹿にするように鼻を鳴らした。
「それ、要は逃げるってことだろう？」
「人を腹立たせる才能だけは無駄にあるようで結構ね」
けれど、と眉寄せるドラコに構わず続けた。
「……このまま引き返すのは癪だからここで勉強していくわ」
Aは不満げに教科書を開く。その顰めっ面にドラコは口許が緩むのを堪えた。
・
そうして不本意ながらドラコとの勉強を終えAは女子寮に戻った。寝室は微かな寝息と共にページをめくる音が響いていた。
「あら……おはよう、A」
しっとりと微笑んで声をかけてきた同室の女の子の一人、ダフネ・グリーングラスにAは深呼吸してから応答した。
「談話室で勉強していたの？」
Aは曖昧に頷いた。
「……ダフネも勉強？ それとも私のせいで起きちゃった？」
「いいえ。初めての授業だから不安なだけよ……」
細い眉を困らせて微笑む彼女に微笑み返す。
「私も。特に魔法史は、父から授業がとても眠たいと聞いたの。初日から寝てしまわないか凄く心配なの」
Aの言葉にダフネは大きく頷く。
「私もそれ聞いたわ！ お互い眠らないように頑張りましょ！」
二人は共闘の握手をぎゅっと交わした。
───「あっそろそろ時間だわ」
と、そのとき悲鳴が響いた──パンジーのである。最後まで粘って眠っていたパンジーは時計を見て大慌てでベッドを飛び出す。
「やだ、どうして早く起こしてくれないの？！」
「何を言うのよ、私たちは起こしたわ！」
騒がしくなった寝室が落ち着くのはまだ先の話だった。Aはそんな光景になぜか微笑まずにいられなかった。
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つき(プロフ) - あさん» そのように認めてくださって感謝します。あんな形ではありましたが別サイトに私の小説を読んでくれている人がいると知れて嬉しかったです。今後このようなことがないよう気をつけていただければと思います。これからもご愛読いただけると嬉しいです (2月8日 18時) (
レス) id: 7cdc86589a (このIDを非表示/違反報告)
あ - 先程別サイトの方を消させていただきました。勝手な無断転載をしてしまったことを深く反省しています。本当に申し訳ありません。 (2月8日 18時) (レス) @page21 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき | 作成日時：2023年8月14日 9時
