狂犬と事故チュー【今日から俺は！！】 (ページ6)

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＿② ページ6

相良サイド

「で、あの鈴木に惚れたのかよ」

「別に惚れてなんかねーよ。ただあいつの事で頭がいっぱいなだけだ。それより鈴木の下の名前なんて言うんだ？智司知らね？」

「知らねーよ。世間ではそれを惚れてるって言うんだ」

チッ。智司に相談した俺が馬鹿だった。

惚れてる、惚れてるって言うけどよ…そんなんじゃねーんだよ。ただ気になってるだけなんだよ。

実は前から鈴木の事は気になっていた。

成蘭高校で番はってる早川京子と同じくらい強ぇ奴がいるらしいと下っ端の何人かから聞いた。

その日のこと、近くの河川敷で成蘭高校と隣町の女子高が喧嘩していると知って、駆けつけると長い黒髪を振り乱しながら喧嘩する鈴木の姿。

狂気じみた笑顔で木刀を振りかざす姿に狂ってると確信した。

ほぼ無傷でスケバンを倒し終わり仲間の早川や、下っ端は去っていったが鈴木はそのまま河川敷に寝転んだ。

ちょうどいい俺も相手してもらおうと近づこうとしたら、開久の近くの中学の制服を来た女が鈴木に駆け寄ると鈴木を起こして手を繋いで去って行く。

その時の鈴木の顔は喧嘩してる時見たく狂気じみた笑顔なんかじゃなくて、優しく隣の女に笑いかけて…

「柄にもなく…か、可愛いと思っちまったんだよ！！それからあの顔が頭から離れねぇ…」

「じゃあ、なんで喧嘩なんかふっかけたんだよ」

「話しかけようと思ったら、なんか喧嘩ふっかけてた…と言うかなんて言えばいいか考えてなかった…」

智司は呆れたようにため息をつくとソファに立てかけてあった木刀を手に取った。おいやめろ。それ鈴木の木刀なんだよ。あんまベタベタ触んな。智司から木刀を強引に奪い取った。

「……それで、鈴木と喧嘩した末にキスして逃げられたのかよ」

「俺も動揺してたんだから仕方ねぇだろ！唇柔らかったし、あいつ色っぽい声出すしよォ…」

「そーかよ。でもな相良。あいつはやめろ」

「あ”？何でだよ？」

「あいつの仲間の早川は軟高の伊藤の女だ。あいつがお前の女になったとして、また伊藤とお前が喧嘩するとこになったら、どっちかが死ぬまでやるだろ。そしたら負けた方の女と勝った方の女との友情なんてなくなるぞ」

智司の言ったことは正しい。あの、ウニ野郎は早いうちに倒してやりてぇと思ってる。だけどそうなったら…。あいつが悲しむ。そんなの見たくねえ。けど、けど…

「それでも諦めるなんて…できねぇよ…」