狂犬と事故チュー【今日から俺は！！】 (ページ34)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:358,168 hit

＿④ ページ34

相良サイド

開久を出て街をふらついていた。

「鈴木…目ェ覚ましたかな…」

今日、何度目かも分からない独り言は誰にも聞かれることなく消えた。「そんなに心配なら行ってこよ」と智司に言われて行こうとも思ったが…足は進まない。結局、自分が鈴木にどう思われているか確かめるのが怖い。情けないと思いつつ開久に帰ることにした。

「さ、相良！」

その時心臓が跳ねた。次第に早くなる鼓動。ゆっくり振り返るとそこには頭に包帯を巻いた鈴木。鈴木はこっちに駆け寄って来た。

「お、お前…もういいのかよ」

「お、おう。大丈夫…」

よかった。思ってたより元気そうだ。

「「あ、あの！」」

「あ…さ、相良から言えよ！」

「いやお前から言えよ」

「……じゃあ先に」

鈴木は驚くほど小さい声で話し始めた。その声は少し震えている。やっぱり俺のこと怖いのか…？

「…き、昨日は助けてくれてありがとう。救急車まで呼んでくれて」

「こっちこそ巻き込んで悪かったな…」

「別に気にしてないから大丈夫…。あと、この間は殴ってごめん…」

「いやあれは俺が悪いから…ごめんな…」

そこから沈黙。気まずい。

「おい…」

その雰囲気に耐えきれず俺は口を開いた。

覚悟を決めて。

「お前…俺のこと好きってほんとなのかよ」

「は、はっはぁぁあ？！！！」

「うっせえな…どうなんだよ」

鈴木の顔を見ると真っ赤な顔で今にも湯気が出そうなくらいで。

そんな顔見たらこっちまで恥ずかしくなってきた。

鈴木は俯いて、長いスカートを握りしめさっきよりかもっと小さい声を漏らした。

「……す…好きだけど…なんか文句あんの…？」

俺はそれを聞き逃さなかった。その瞬間心臓が飛び出すかと思うぐらいの衝撃が俺を襲った。

そして何を思ったか口からとんでもないことが飛だす。

「だったら…付き合う？」

それは雰囲気もクソもねェ告白だった。恥ずかしくて俺も好きだとは言えずに。

だって本当は今日告白なんてするつもりじゃなかったし。

こんな雰囲気もクソもない告白なんてしたくなかった。

でも今伝えないと…鈴木とこのままな気がして。

おい黙ってないで何とか言えよ。

早く言ってくれ。

俺の心臓がどうかする前に。