狂犬と事故チュー【今日から俺は！！】 (ページ13)

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＿③ ページ13

相良サイド

「た、頼む！ゆ、許してくれ！！」

「あ”？わりぃな…今日腹の虫が悪いんだわ」

相手の腹に向かって足を振り下ろすと、そのまま動かなくなった。

「おいおい開久に喧嘩売っといて、これで終わりかよ。開久も舐められたもんだなぁ…おい、てめぇら。次舐められたら開久だろうが容赦しねぇからな！！」

「「は、はい！！！」」

チッ…何でこうも腹の虫がおさまらねぇんだ…。

『だから忘れろよ！じゃあね！！！』

あの時鈴木が言った言葉が頭の中に響く。

「…簡単に忘れられたら困らねぇよ…！」

あいつからすれば、俺とキスしたことなんて単なる事故なのかもしれねぇ。でも俺は、そんな事ですます訳にはいかねぇんだよ。くっそ、イライラすんなァ。

道の真ん中を下っ端引き連れて歩けば、当然周りの奴は冷たい目線を向けながら避けて行く。その中に鈴木と同じ制服を着てる女もいる。

同じ髪型。

同じ制服。

同じぐらいの背の高さ。

でも鈴木と似ている奴なんて1人もいない。

「…何が違うんだろうな」

考えても、考えても…答えなんて出てこねぇ。余計苛立つばかり。

もしこの思いをあいつに伝えれたら…。どんなに楽か。でも、失敗した後の事ばかり考えて、結局何にもできねぇ。

もし、もし…俺があいつと付き合えたら…。

『猛…？そんなに怒ってどうしたの？』

『あ？いや何でもねぇよ』

『…もしかして…私何か気に触ることした？』

『は？ち、ちげぇよ！！下っ端の奴らがヘマしただけだから…そんな顔すんな』

『うん…でも私は猛の怒った顔より、笑った顔の方が好き』

「こりゃ…結構やべぇな」

「何がやばい…さ、相良さん！は、鼻血ぃいいい！」

「おい誰かティシュ持ってねぇか！？持ってる奴出てこいや！！」

その日オヤジ狩りならぬ、ティシュ狩りがあったのはまた別の話。