. ページ6
.
その日、北の国では誰も見たことがないほど美しいオーロラが発生したらしい。
キラキラと音をたてながら色を変えていくカーテンに、寝静まっていたはずの子供は降り積もる光の粉を掬い、争っていた大人は武器を置いて肩を寄せあった。
「……これで良かったんですか、ムル。」
「うん！」
「俺だけの物にするなんて勿体ないくらい綺麗だったからみんなに見てほしかった！」
魔法使いは、どの歴史においても残酷だ。
現に今目の前でも＿最期まで俺と一緒にいること＿という約束を果たしたばかりの魔法使いが、同じ魔法使いによって粉々に砕かれてしまった。
オーロラは此方に気付いたかのように赤くなってみせた。私が思わずクスリと笑えば、隣で猫は手を振る。
.
「綺麗だよ、A！」
オーロラは一度だけ紫になってチカリと瞬いた。何故だか笑っているように見えた。その後、もう二度と紫にはならなかった。
「おや、フラれてしまいましたね。」
「そうかも！」
.
昇る太陽に目を細める。
さあ、最後は笑ってお別れしよう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱりす(プロフ) - 胸がいっぱいになりました。中性的な口調ですっごく印象に残る夢主と、愛おしいけれど残酷なムルの描写が本当に尊かったです。尊敬します。素敵な作品を生み出してくださり、ありがとうございます。 (2021年1月16日 22時) (
レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
暇人 - 雰囲気がとても好きです…！続きも楽しみにしてます！！ (2021年1月5日 23時) (レス) id: eadb650837 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳴々 | 作成日時：2020年12月21日 1時
