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伍【不死川実弥】 ページ5

「とりあえず街に出たものの…何すっかな。」
炭治郎を腕に抱き、不死川は街を歩いていた。
炭治郎が歩けることは分かっているのだが、腕に抱いていると炭治郎の体温が伝わってくる。
それがたまらなく気持ちいい不死川はこうして炭治郎を抱いて歩いているのだ。
きょろきょろと街を見渡す不死川。
そんな彼を眺めていた炭治郎が、不意に彼の袖をひいた。
「しな…しな?」
「んぁ?あぁ、名乗ってなかったか…。俺ぁ、不死川 実弥って言う名だ。呼びやすいように呼んでくれや。」
言葉はしっかりと理解しているのだろう。
炭治郎はふむ、と頷くとぱっと花が咲くような笑顔を見せた。
「さね!」
「実弥のさねかぁ。いいんじゃねぇか?」
さね、さね、と連呼する炭治郎。
それを微笑ましく見つめた実弥が視線を上げるとそこには 茶屋があった。
「おはぎは好きかぁ?炭治郎。」
「おはぎ?おはぎ!あまくて、ねずこがすきなんだ!」
ぱたぱたと着物の袖を振ってそう説明する炭治郎。
禰豆子が喜ぶことを常に考えているところから、幼くても炭治郎は炭治郎だな…と実弥は思う。
今の炭治郎も昔の炭治郎も愛らしいことに変わりはない。
「じゃあ、おはぎ食って…禰豆子に土産として買ってくか。」
「さね!うん!」
ぱたぱたと暴れる炭治郎を腕から落とさないように支え、茶屋へと向かう実弥。
彼の顔に浮かぶ満面の笑みはほかの隊士が見れば目を疑い、失神するだろう。(恐怖で)
まぁ、炭治郎といる彼はいつもこんな感じなのだが。
本人は未だ気づいていない。
かっこ良くて凛々しい風柱さんなのだ。(実弥的には)
「すみません、おはぎ二人分と…あと、土産用に一袋。」
「はいよー。可愛い弟さんだねぇ。」
「えっと…。弟ではなくて…。」
「おれは長男だから、つよいんだ。」
「あら、そうなの?」
親戚の子なのだ、と説明する実弥の元におはぎが届く。
大きなおはぎを見て、ぱっと顔を輝かせた炭治郎は小さな口でおはぎにかぶりついた。
「こら、こぼれるだろぉ。」
「おいしいぞ、さね!」
炭治郎の口の周りについた餡子を拭う実弥はまるで、幼い頃の玄弥を見ているような…そんな感傷的な気分になっていた。
まだ、幸せだったあの頃。
弟である玄弥とも、随分と仲が良かった。

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作者名:むい | 作成日時:2023年9月21日 16時

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