壱(プロローグ) ページ1
「善逸!だめだ、こっちへ!」
「炭治郎ぅぅ!ごめんねぇぇぇ!」
炭治郎と善逸は雑木林の中をひたすらに走っていた。
いつもの任務を遂行し、帰ろうとした矢先。
奇妙に佇む人がいる、と思い炭治郎が注意を促そうとしたのだが…それはどうやら鬼だったようで。
不意打ちに近い形の攻撃を受けた善逸とともに、炭治郎は逃げていたのだ。
「ぎゃぎゃぎゃ!」
「…善逸!そこの陰に隠れろ!」
追ってくる鬼との追いかけっこは終わらない。
らちがあかないと思った炭治郎は善逸に隠れさせ、鬼に向かい合った。
「ー水の呼吸 壱ノ型 水面切り!」
「ぎゃっ!」
鬼の頸が飛ぶ。
それを見た炭治郎は、ほっと力を抜いた。
抜いてしまったのだ。
「ぐぁっ!け、血鬼術っ!『退行』っ!」
それは、鬼が最後の最後の力で繰り出した血鬼術。
油断をしていた炭治郎は…見事にそれを浴びてしまったのだ。
「う、うわぁ!」
「た、炭治郎ぅぅぅ!?」
2人の悲鳴が、雑木林の中にこだましていた。
「炭治郎が小さくなったぁぁぁ!?」
蝶屋敷の中庭。
蟲柱 胡蝶しのぶにより急遽集められた柱達は、皆声を揃えてそう叫んだ。
「はい。…血鬼術によるものらしいです。その血鬼術を使う鬼自体は倒したそうなのでしばらくすれば解ける…はずです。」
はぁ、とため息を吐くしのぶを前に柱はざわざわと騒ぎ始めた。
「炭治郎が…幼児化?」
「ち、ちっちゃくなっちゃったのね、炭治郎くん!」
「派手だな!派手すぎる!」
「…鏑丸と遊ばせてやってもいい。」
「炭治郎炭治郎。何処?僕のところへ戻っておいで。」
「はん、しらねぇなぁ。…で、何処にいんだよぉ?」
ざわめく柱達をだまらせるかのように、しのぶがぱんぱんっ、と手を叩く。
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作者名:むい | 作成日時:2023年9月21日 16時