summer[9] ページ9
「元気そうだな」
そう柔らかく言うと、優しく頭を撫でてくれた。
痩せて骨は浮かんでいるものの、大きくて温かい。彼の手は好きだ。見慣れつつも触れたくなる。
一郎太の手を掴んでふにふにと弄っていると、くすぐったそうに[やめろ]と言われ離れた。
「いいじゃんか、もう忘れるくらい会ってなかったんだから」
そういうと、何とも言えない微妙な表情で、彼は私から少し視線を逸らした。
「逸らすなっ」
彼の頬を両手で優しく挟み、自分の方へ向けさせた。
うー、と低く唸ったものの、その綺麗な瞳は真っ直ぐに私を見てくれる。
綺麗...抉ってしまいたいくらい綺麗だ。思わずうっとりと見つめてしまう。
整った顔に指先を這わせて、瞼の縁をそっとなぞる。柔らかく、さらさらしていた。
彼は不思議そうに私を見ている。
「何かついてたか？」
「何でもないよ」
そう笑った。彼も安心したように笑ってくれた。
「ねえ一郎太。この前はどこに行ってたの？」
「ん、ドイツ。今度はアメリカに行くんだ。ほら、お土産」
そう言って彼が差し出したのは、可愛らしいストラップだった。
ありがとう、と受け取ってそれをまじまじと見る。
銀色の月の線の中に、青い雫型のビーズがキラキラ光っていて輝かしい。
黒の紐の部分は丁寧に編まれており、夜空を容易に彷彿させる。
「ドイツ感ないね」
「いうなよ」
若干拗ねる彼をなだめつつ、それをポケットにしまった。
このプレゼントはとても嬉しいが、私は彼にこうしてもらう為に話してるんじゃない。
そう、本題はちゃんとある。これはただの前座だ。
彼の揺れ動いている先をちゃんと聞かなければ。
このままじゃ、安心できないまま死んで成仏してしまいそうだからね。
「ねえ、一郎太」
「何？」
彼は柔和に微笑む。空気を読めない胸がときめくと同時に、昔の彼がちらついた。
でもそれは一瞬。ふっと息を吹きかけた蒸気のように揺らめいて消えてしまう。
「私に内緒で、何処で何してるの？」
ぴくっ、と彼の表情が釣り上がる。いかにも突かれたくないところをやられたようだ。
あまりに唐突だったせいか、動くこともない視線は私を見続けている。
「今日は答えてくれるまで、帰してあげない」
「...勘弁してくれよ。」
困ったのか、苦笑を浮かべつつ顔に右手を押し当て、溜息を吐いた。
その動きに合わせて、長く青い髪が緩やかに肩を滑り落ち、一郎太の顔にかかる。
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佐奈(プロフ) - 狩穂さん» うわぁぁぁぁ嬉しいです！！ガチにマジで！素敵だなんて...感謝感激雨嵐...更新頑張ります！その内続編も出しますのでそちらもお願いします！！ (2014年9月14日 21時) (
レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
狩穂(プロフ) - やっぱりこの小説ステキです〜(*´・ω・) 毎日、更新、楽しみにしてます(笑 (2014年9月13日 19時) (レス) id: f53fe779b4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 暇人です！さん» コメントありがとうございます！意外にってことはシリアス度が少し低かったでしょうか？でもはまっていただき嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: c702872890 (このIDを非表示/違反報告)
暇人です！ - 意外と面白くてはまりました！！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: ae1125bdad (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 狩穂さん＞コメントありがとうございます！こんな小説でよければ頑張って更新率あげようと思います！楽しみにしてもらえて感激です！ (2014年8月19日 13時) (レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2013年7月29日 22時
