summer[16] ページ16
―――あれから数時間経った。
二人は家事もあるということで帰宅し、私は部屋で一人でベッドに横わたっている。
夏だというのに涼しく、まだ日光が差してくるここは、静寂に包まれていて気持ち悪い。
耳を澄ましても、子供の遊ぶ声や姉さん達の声がするだけだ。
...マサキ君が帰ってくる時間はまだまだ先。おそらく六時間目の途中辺りだろう。
のんびり過ぎて動かない影を、風が触れてふっくらと大きくはためくカーテンを見つめる。
退屈というのは、要らない時に限って腐るほどある。現に、今もだ。
寝返りを打ち、それらから目を逸らすように背を向けると、黙りこくっていたドアが開いた。
「入るぞ」
「...玲名」
手には透明な薬箱。いつもの薬の時間が来ていたみたい。
玲名は慣れたこともあり、ベッドの近くに置かれた椅子に腰掛け、手際よく薬を取り出し始める。
「ありがと」
「... ...いつものこと、だろう」
「たまには感謝くらいしなきゃ」
何が障ったのか、かなり驚いた顔をしつつ、それをゆっくりと冷静に戻した。
がたんっ、と重そうな音が隣のテーブルに響く。
玲名が持ってきた薬箱は、いくつもの仕切りがあり、どれもこれも嫌な意味でカラフルだ。
綺麗に束ねてあったり分けて測ってあったりするのは、姉さんの管理が行き届いてる証拠だろう
「薬が効かなくなったのかと思った」
「玲名って冗談きかないなぁ」
堅物だ、つまらないだ、とぼやいていると、両手にサインを送られ、両手を出す。
様々な種類の薬を仕切りから一つ、また一つと手の上に乗せられた
結構な量だが、片手に移して型から出していると、準備の良いことに玲名は水を用意していた。
「イチゴ味のゼリーがいいなぁ」
「子供みたいな事を言うな」
「はいはい」
薬を一気に口に入れ、水の入った冷たいコップを口につけて傾ける。
まるで遊び道具を食べてしまったような固い感覚が、水で無理やり流されていく。
普通の人なら味わない感覚を、私はもう何年も重ねてしまったんだね。
だから今更気持ち悪いとか思わないんだろう。
「新しい薬、増えたな」
「飲んじゃえばもう分からないよ」
「... ...本当に、能天気な奴だ」
ああ、また嫌味くさいことを言ってしまった。顔に出ないよう後悔する。よくあることだけど。
ばたん、と薬箱を閉める音が響く。カタカタと中の錠剤が揺れた。
... ...決して悲しませたくてこういうこと言いたいんじゃないんだけど。
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佐奈(プロフ) - 狩穂さん» うわぁぁぁぁ嬉しいです！！ガチにマジで！素敵だなんて...感謝感激雨嵐...更新頑張ります！その内続編も出しますのでそちらもお願いします！！ (2014年9月14日 21時) (
レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
狩穂(プロフ) - やっぱりこの小説ステキです〜(*´・ω・) 毎日、更新、楽しみにしてます(笑 (2014年9月13日 19時) (レス) id: f53fe779b4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 暇人です！さん» コメントありがとうございます！意外にってことはシリアス度が少し低かったでしょうか？でもはまっていただき嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: c702872890 (このIDを非表示/違反報告)
暇人です！ - 意外と面白くてはまりました！！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: ae1125bdad (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 狩穂さん＞コメントありがとうございます！こんな小説でよければ頑張って更新率あげようと思います！楽しみにしてもらえて感激です！ (2014年8月19日 13時) (レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2013年7月29日 22時
