summer[14] ページ14
「前より元気になったみたいね」
おしとやかに言葉を放つ夏未ちゃんに、もちろん！と答えてあげた。
効果がないとは言え、前の手術は一応成功している。...気休めとしてね。
「二人も元気そうで良かった」
二人は顔を見合わせて、明瞭に笑った。そんな二人が笑顔が好きだったりする。
少し談笑を楽しんでいると、ぱっと明るい表情になった秋ちゃんが、何かを差し出した。
真っ白な四角形の箱、ほんのりと甘い香り。
「Aちゃんの身体でも食べられるケーキ、作ってきたの！」
思わず胸が高鳴った。それも当然、私は砂糖だけでも喜ぶような甘党だ。
秋ちゃんが持ってきてくれた紙皿に、ふんわりと切り分けられたケーキが乗せられた。
今すぐ素手で食らいつきたい衝動を抑えながら、それを受け取る。
「よかったら夏未ちゃんも。甘さは、ちょっと弱いけれど...」
「あら、嬉しいわ。それじゃあ」
二人の間だけ緩やかな時間が流れているように、焦らされてる気分になった。
年だけ取っても大人になれないのが、よくよくわかる。
「ねえ、早く食べたい。食べていい？」
「あ、ごめんごめん。はい、フォーク。」
手渡されたフォークを半ば奪う形で受け取り、その柔らかなケーキに突き刺した。
せっかちねえ、と夏未ちゃんは冷ややかにも呆れるように笑う。
そんなのも気にせず、一口大のケーキを口へ運んだ。
「... ...美味しい...」
「本当？頑張った甲斐があるなぁ。」
ケーキの口溶けのように、ほろりと彼女は笑った。
夏未ちゃんも、縛られた糸が解けるように、顔が柔らかく綻んでいく。
それから、二人は身の回りで起こったことを私に教えてくれた。
円堂君が元気に監督やってて、毎日泥だらけで帰ってくるのが嬉しいって
一之瀬君も元気で、一緒にサッカーを見に行ったり、たまには一緒にいたりとか。
... ...ああ、いいなぁ。まるで幸せみたい。
私にとってそれは、未だ届かないものなのに。
嫉妬や
でもそれはなかったように、はらりと消えた。
「Aは、風丸君に会えた？」
夏未ちゃんが先を回るように、私に問う。
そう質問してくれなかったら、多分今頃悪い自分が出てきてしまってたかもしれない。
「風丸君、最近見ないけど...大丈夫？」
心配そうに聞いてきた二人に、私は笑顔で頷いた。
彼の一番の人なのに、彼のことを何も知らないなんて、言いたくない。
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佐奈(プロフ) - 狩穂さん» うわぁぁぁぁ嬉しいです！！ガチにマジで！素敵だなんて...感謝感激雨嵐...更新頑張ります！その内続編も出しますのでそちらもお願いします！！ (2014年9月14日 21時) (
レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
狩穂(プロフ) - やっぱりこの小説ステキです〜(*´・ω・) 毎日、更新、楽しみにしてます(笑 (2014年9月13日 19時) (レス) id: f53fe779b4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 暇人です！さん» コメントありがとうございます！意外にってことはシリアス度が少し低かったでしょうか？でもはまっていただき嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: c702872890 (このIDを非表示/違反報告)
暇人です！ - 意外と面白くてはまりました！！ (2014年8月24日 0時) (レス) id: ae1125bdad (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - 狩穂さん＞コメントありがとうございます！こんな小説でよければ頑張って更新率あげようと思います！楽しみにしてもらえて感激です！ (2014年8月19日 13時) (レス) id: d991105954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2013年7月29日 22時
