第4話 ページ5
長義side
「なるほど。そんなことがあったとはね」
『いつかは言わないといけなかったから、言えてスッキリしたよ』
「今は、一振り目の偽物くんを思い出さないのかな？」
『忘れたことは一度もないよ。でも、過去を引きずってたら前に進めない。国広がそれを教えてくれた気がするの』
「....」
『ごめん。話長くなっちゃったね。書類、よろしくね！』
「あーあ。全部、主に話させちゃったな」
「昔話を語れるようになったのも山姥切が居たからだろうね」
「そうね。俺達には入れない空気がやっぱりあるんだよなー」
「近侍という理由では纏められないね」
「主にとって山姥切は特別な存在だけど、山姥切は...」
「主はこういうことには鈍いからね」
「...くだらない。俺達は刀剣男士だ。歴史を守るだけじゃないか」
「まぁ、そうね。心って難しいけど感情があるのも悪くないと俺は思うけどね」
「貴殿にもいつか分かるよ」
「....」
あれから数日が経ち、俺は主と偽物くんの様子を見ていると
この間、あの二振りから話を聞いていたように
偽物くんが隣で主を見ている表情は俺達に見せることない顔をしていた
分かりやすい
主は気付いてないようだがね
可哀想に
様子を見ていると主と目が合い、なんとなく目を逸らした
だが、笑顔で手を振る主を無視するのも変な話だ
手を振り返すと嬉しそうに笑っている
その姿は可愛らしく思った
...可愛らしい？
主が可愛らしい？
何故、俺がそんなことを感じるんだ
馬鹿馬鹿しい
『長義』
「なにかな？」
『さっき、目逸らしたでしょ？』
「バレていたか」
『そんなことしたら傷付くよ？』
「それはすまなかったね」
『嫌われたかと思ったよ』
「なら、見てあげようか。君の顔をまじまじと...」
目を逸らしたことを根に持つ主の顔をずっと見ていると
顔が赤くなっていく主
へぇ...
こんな顔するんだ
すると
恐らくずっと見られて恥ずかしくなってきたのだろう
限界がきたのか目を逸らした
「今、目を逸らした。これでお互い様だ」
『うぅ...ズルい』
「なにかな？主が仕掛けてきたんじゃなかったかな？」
『長義がそんな返しすると思わなかったから』
いつまで顔を赤くしているんだ
そんな顔をしていると...
もっと色んな顔を見たくなるじゃないか
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2022年3月14日 2時
