第32話 ページ33
長義side
『今日は楽しかったね』
「あぁ。良い気分転換にもなったよ」
『良かった』
嬉しそうに笑う彼女につられて笑ってしまう
「それで...いつまで付いてくるのかな？主の部屋は向こうだろ」
『だって、1日一緒に過ごす約束でしょ？』
「覚えていたのか」
『うん』
てっきり忘れているだろうと思っていた
「だが、夜に女性が男の部屋に来るのはどうだろうね」
『じゃあ、私の部屋に来る？』
「そういう意味ではない」
本当に鈍いな
「色々と問題があるだろ。君は危機感というものを持つべきだ。俺が何もしないという保証はないかもしれない」
『でも、長義とは一緒に徹夜で仕事したこともあるし...』
「はぁ...信頼してくれているのは嬉しいが、男として見られていないとはね...」
『え？』
「俺も男だということを教えた方が良いのな？」
彼女の頬に手を添えて顔を見ていると、顔が赤くなっていくのが分かる
恐らく言葉の意味を理解しているわけではない
「顔が赤いね。どうしたのかな？」
『今日の長義、意地悪』
「そうかな？俺はいつもと変わらないよ」
『確かに言われてみれば...』
「やめてほしいなら、そういえばいい。だが...君は満更でもなさそうに見えるけどね？」
『なっ！』
「おや。図星かな？」
『ち、違っ...』
「そんなに顔を赤くしながら否定しても説得力がね...」
『うぅ...』
俺の言葉、一言一言に反応する彼女が可愛くて仕方ない
『意地悪...』
「すまない。君の反応が可愛くて、ついね」
『いくらなんでも、からかいすぎ！』
「からかってなんかいないさ。可愛いと思ってるよ」
『...っ！』
ほら。また顔が赤くなった
『も、もう部屋に戻る！』
彼女も俺の言葉に耐えれなかったのか足早に去って行った
これでいい
俺の理性が可笑しくなるところだったからね
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2022年3月14日 2時
