第29話 ページ30
長義side
町を歩いているが、どの店も混んでるな
『長義は何処に行きたいとかある？』
「君の行きたいところで構わないよ」
『それだと、お礼にならないよ』
「そんなことないよ。今回、君を町に誘ったのは2人だけで過ごしたかったからだ」
『2人だけで？』
「本丸に居ると皆に邪魔されてしまうからね。こうしないと君とは2人きりになれない」
『そうかな？』
「第一、俺はまだ君のことを知れていない。ゆっくりするのも悪くないが君と出掛けることで知ることもあるだろうと思ってね」
『私も長義のこと知りたいと思ってるよ』
「それは嬉しいな。今日は楽しもうじゃないか」
『うん！』
それから彼女と色んな場所を巡った
表情がコロコロと変わる彼女を見ているのは飽きない
『そろそろお腹空かない？』
「そうだね。少し休憩しようか」
『あそこの饅頭屋に行かない？美味しいんだよ』
「へぇ。そういえば食べたことなかったな」
『じゃあ、決まり！』
「俺は君のオススメを頼もうかな」
『わかった！おばちゃん、つぶあんとこしあん2個ずつで！』
「はいよ！」
「あまり食べ過ぎると夕食が入らなくなるよ」
『長義まで、国広と同じようなこと言わないでよ』
「....」
『これでも、ちゃんと気を付けてるつもりなんだから』
「はぁ...」
『どうしたの？』
「今は俺と2人で居るんだ。偽物くんの話は止めて貰おうか」
『あっ、ごめん』
自然と偽物くんの話が出てくるのは、いつものことだ
まぁ、いい。君が俺だけを考えられるようにすればいい話だ
「はい！お待たせー！」
『あ、ありがとうございます』
「さて、頂こう」
『きっと気に入ると思うよ』
「確かに、なかなかいけるな」
『うん！相変わらず美味しい！』
「全く。頬に粉がついているよ」
『えっ！？恥ずかしい...どっちについてる？』
「動かないで」
ハンカチを取り出し拭った
まるで、これでは子供の世話をしているみたいだ
「はい、とれたよ」
『あ、ありがとう』
「どういたしまして」
まぁ、こうして顔を赤くしている姿を見られるなら
世話も悪くないな
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2022年3月14日 2時
