第11話 ページ12
長義との仲は戻ったものの、距離感というものが変わり始めていた
『よし！報告書は終了！次は...あれ？国広、あの書類知らない？』
「あぁ。さっきこの辺にあったぞ」
『本当？』
「これか？」
『そうそう！さすがだね！』
「はぁ。全く...」
机の上にたくさん紙があるというのに、"あの書類"で理解してくれる山姥切って凄いよな
なんて感心していると
長義に手を触れられた
もちろん山姥切には見えないようにだ
長義の顔を見ると何事もないかのように澄ました顔をしている
最近、長義は私が山姥切と話をしていると自分に意識を向けるように何かしら仕掛けてくるようになった
それも見つからないように
私だけ動揺している様子を山姥切に気付かれているのか、気付いていないのかは分からない
「どうした？疲れたか？」
『え？だ、大丈夫だよ』
「そろそろ休憩をとるか」
『そうだね』
「茶でも飲むか」
『うん』
「...本歌もいるか？」
「あぁ。よろしく」
山姥切が去ったのを確認して私は長義の顔を見た
「なにかな？」
『何じゃないよ！さっき手に...』
「あぁ。机が狭いからね。あたってしまったようだ」
実際2人座れば狭いのは確かだけど...
「大きい机でも買うかい？」
『いや。あまり変わらない気がする』
「よく分かっているじゃないか」
『もう。反応に困るんだけど...』
「俺は楽しませて貰っているよ？」
『動揺してるし国広も多分、気付いてると思う』
「あぁ。そうだろうね。まぁ、俺は構わないけど」
『はぁ...』
「それより、また偽物くんの話かな？」
『あっ...』
「君はどうも懲りないようだね」
『ごめん』
「...茶を持ってきたぞ」
『ありがとう』
「そういえば、審神者の集いがあるそうだな」
『あぁ。もうそんな時期か』
「審神者が集まり情報交換するやつか」
『長義も知ってるんだ』
「あの面倒な集まりは無意味だと思うがね」
『どうして？』
「情報交換をしているのは、ごく僅かだ。残りは出会いを求めているだけだ」
確かに私も前に声をかけられたことはあった
相手は下心だけだった
その時は山姥切がスグに気付いてくれたから問題はなかったけど
『今回も近侍と来るように書かれていたから、よろしくね』
「あぁ。わかった」
「俺も政府の刀だったからね。面倒だが向かうことになりそうだ」
『大変だね』
「全くだよ」
「....」
パーティーなんて言われてるけど、楽しいのなんてご馳走だけなんだよな〜
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2022年3月14日 2時
