第155話 ページ8
広間へ向かうと、みんなが朝食を食べていた
『おはよう』
「あれ？A、遅かったね」
『うん。ちょっとね』
[おぉ、今日の朝食は鯖の塩焼きか]
「なるほどね」
「大変だな」
私の横でご機嫌な宗近さんを見て加州と山姥切が察した顔をしている
長い付き合いも、こうなると恥ずかしいものだ
[さぁ、A。食べよう]
『そうですね』
宗近さんは気にもせず、隣で朝食を食べ始めた
人の気も知らないで、なんて思うけど日常茶飯事だ
でも...
[ん？俺の顔を見てどうした？]
『いえ。なんでも』
[そうか]
そんないつも通りの宗近さんを見ると安心するところもある
朝食を食べて職務をしに部屋へ戻ると
私の部屋の前で三日月さんが待っていた
『な、何か用ですか？』
「つれないな」
『職務があるから忙しいんです』
「三日月宗近と随分仲が良いな」
『恋仲ですから』
「朝食は皆で揃って食べるものだ。皆、待っていたぞ」
『それは、すみません』
「真面目なお主がどうした？何故、遅れてきた？」
『に、二度寝しちゃって』
「俺に嘘は通じない。あやつと何をしていた？」
『な、何って...』
三日月さんに言えるわけない
「....」
『み、三日月さんには関係ありませんから』
襖に手をかけ部屋へ入ろうとすると、そのまま三日月さんも部屋に入ってきた
『ちょっ！何入ってきてるんですか！』
「...関係はある。お主に関わることだからな」
『だ、だから私には宗近さんが！』
「俺は三日月宗近から奪いに此処へ来た。簡単には引き下がるつもりはない」
『三日月さん...』
「遠慮はしない。お主にも三日月宗近にもな」
『どうして...』
「好きだからだ。これ以上に理由がいるか？」
『こ、こんなの二股です』
「今はそれでも構わん」
『え？』
「いつか、お主が振り向いてくれるのならば我慢など容易い」
『で、でも！』
「A...好きだ」
『だ、ダメ...』
「すまない」
『んんっ！？』
「んっ...」
強引に唇を奪われたが、そのキスはとても優しかった
『んんっ...はぁ...』
「今、お主の目に映っているのは俺だ。俺を感じてくれ」
『三日月さん...』
もう、後戻りは出来ない
私は最低な審神者で最低な女だ
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2021年4月18日 13時
