第153話 ページ6
あの演練から数日
私達の本丸は相変わらず賑やかで平和だ
平和が1番だよね
「A！大変なことになってる！」
『ど、どうしたの？』
「三日月が二振りいる！」
『もしかして...』
慌てて広間へ向かうと
三日月宗近VS三日月宗近が行われる雰囲気だった
『三日月さん！どうして此処に！？』
「しばらく、この本丸へ滞在することになった」
『えっ！？』
「主の許可は貰っている」
『ど、どういうことですか！？何も聞かされていないんですけど』
「あぁ。俺個人の問題で来たからな」
『三日月さんの？』
「お主を奪いにきた」
『う、奪う！？』
「それはさすがに困るんだけど」
「Aはこの本丸に必要な存在だ」
「そういう意味ではない」
「じゃあ、どういうことなの？」
[心を奪いにきた、ということか]
「相変わらず察しがいいな」
[Aは渡さん]
「滞在は1週間。俺はお主を振り向かせてみせる」
『...っ！』
「とりあえず部屋を用意しよう」
「すまんな」
『わ、私も手伝うよ』
とんでもないことが始まりそうだ
違う本丸の刀剣男士が来ることは珍しいことではない
ただ、それは調査や視察での話だ
審神者様はどうしたいの？
「A」
『み、三日月さん！？』
さすがに警戒してしまう
「安心しろ。今は何もしない」
『どうして、こんなことを？』
「主から記憶の話を聞いた。俺達は以前、恋仲だったそうだな」
『む、昔の話です』
「お主を見ていて愛おしく想うのも無理のない話だな」
『三日月さんにはかすみさんが居るじゃないですか』
「前にも言ったはずだ。かすみとは恋仲ではないと」
『かすみさんから、三日月さんと体の関係を持ったと聞きました』
「なんの話だ？」
『惚けても無駄ですよ！熱い夜を過ごしたって！』
「それは、かすみの作り話だな。お主に出会ったあの日から、かすみには指1本触れていない」
『そ、そうですか』
「恐らく、お主に嫉妬したのだろう。俺がお主を忘れられないからな」
『...っ！』
「お主は、俺を忘れたか？一度は愛し合った関係を持つ、この俺を」
『そ、そんな聞き方ズルい』
「はっはっは。遠慮はしないと言ったからな」
『...忘れられるわけないじゃないですか。愛してたんだから』
「A...」
『でも、今の私には宗近さんが居ます。だから！』
「諦めろと？」
『宗近さんを傷付けたくないんです。失礼します！』
「諦められるなら、此処へは来ていない」
[....]
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2021年4月18日 13時
