第112話 ページ15
お茶を飲む三日月さんは、いつもと何も変わらない
[そなたに渡したい物がある]
『渡したい物?』
[これを、そなたに...]
三日月さんが私に差し出したのは桜の形をした髪止め
『これ...』
[今日は、ほわいとでーだからな]
この髪止め、見覚えがある
加州が似たような物を持っていた気がする
もしかして...
『三日月さんの手作りですか?』
[あぁ]
『可愛い...』
[気に入ってくれたか?]
『はい!着けてもいいですか?』
[うむ]
嬉しくて早速着けようとすると三日月さんに手を掴まれた
『三日月さん?』
[俺が着けてやろう]
『じゃあ、お願いします』
[手作りのあくせさりーとは難しいな。加州に教わったが時間がかかってしまった]
『用事って、もしかして...』
[うむ。これを作る為に時間を使っていた]
『そうだったんですか...』
[そなたに寂しい思いをさせたな。すまない]
『き、気付いてたんですか?』
[あぁ。俺が部屋を出ていく時、そなたは、いつも名残惜しそうに俺の顔を見ていたぞ?]
『...っ!』
[用事も終わった。これで、またそなたと居れる]
優しく微笑みながら、私の頬に手を添える
このまま三日月さんを受け入れたいが、私は真相を聞かないといけない
『あ、あの!1つ聞きたいことがあるんです!』
[なんだ?]
「に、日本号から聞いたんですけど...万屋で綺麗な女性に言い寄られたとか...」
[あぁ...]
『その人とは何か関係あるんですか?』
[何もないぞ?言い寄られたのは事実だが...俺はそなた以外のおなごに興味ない]
『...っ!』
[心配したか?]
『だ、だって!綺麗な女性と私じゃ敵いませんし...』
[いやー。そなたが妬いてくれるとはな。嬉しいな]
『や、妬いてなんて!』
[では、何故聞いた?]
『そ、それは...気になったから...』
[ん?]
『さ、察して下さい!』
[はっはっは。意地悪しすぎたか]
『もう...』
[さて、今日はどうする?]
『え?』
[このまま...俺と共に過ごすか?]
『...っ!』
耳元で囁いてくる三日月さん
意味を理解し、顔を赤くする私の反応を見ている
笑っていたかと思えば、すぐに切り替わる
これに私は弱い
三日月さんの瞳が私の返事を待っている
目は口ほどに物を言う
私だって...
『三日月さんと...居たいです』
[あぁ。寂しい思いをさせた埋め合わせをしよう]
『はい』
このまま、こんな幸せが続くといいな...
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年1月3日 9時