第75話 ページ28
気持ちを少しでも晴らせるようにと縁側に向かうと三日月さんが珍しくお酒を飲んでいた
普段、お茶を飲んでいる三日月さんは、のほほんとしていて
お酒を飲んでいる三日月さんは、男らしく色気を感じる
お茶とお酒
三日月さんな飲むものだけで、こんなに雰囲気が変わるものなんだ
「Aではないか。こんな時間にどうした？」
『夜風にあたろうかと思って...今日は星空も綺麗ですし』
「隣、座るか？」
『じゃあ、失礼します』
「一杯どうだ？」
『遠慮しておきます』
「そうか」
今日は1日、三日月さんと一緒だったな...
うちの本丸の三日月さんですら、こんなに長く一緒に居なかった気がする
「明日で終わりを迎えると思うと寂しくなるな」
『...さっき審神者様に今日の様子を報告してきました』
「して、主は何と？」
『呆れたのか、ほとんど会話はありませんでした』
「そうか」
『せっかくの機会だったのに、無駄にしてしまいました』
「無駄か...」
『本丸を任せてまで此処に来たのに...』
「俺は無駄だとは思わんぞ？」
『え？』
「お主と共に過ごしている時間は楽しかったからな」
『三日月さん...』
「だが、お主への気持ちを思い出した以上、別れは辛くなるな」
『辛い思いをするなら、思い出さない方が良かったと思わないんですか？』
「俺は心の中に空いていた何かが気になっていた。それがお主のことだと知れた時、嬉しかったぞ。俺は昔も今もお主を好いている。帰したくないというのが俺の本音だ」
『...っ！』
三日月さんの気持ちは嬉しい
だけど、みんなが待っている
そして、私の居場所は此処ではない
『あ、あの...』
「すまない。困らせてしまったな」
『い、いえ...』
気まずくなる前に話題を変えよう！
『少し冷えますね』
「ならば、ちこうよれ」
『え？』
「くっついていれば、少しは寒さもましになるだろう」
『な、何もそこまでしなくても』
「風邪をひくぞ」
『だ、大丈夫ですから！』
「お主が来ないならば俺からいこう」
『えっ！？ちょ、ちょっと待って！』
「はっはっは。顔が赤いな」
『あ、あの、近いですから！』
「...顔を赤くしているお主が愛おしい」
『み、三日月さん、酔ってるんじゃないですか？大丈夫ですか？』
「そうだな。お主に酔っている」
『へ？』
「...Aよ。口吸いをしても良いか？」
『えっ...』
今、とんでもないことを言われたような...
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
