とある本丸の新人審神者は記憶が曖昧なようで (ページ23)

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第70話ページ23

この本丸には見習いの時に居たとはいえ、審神者様の本丸だ

変に触るわけにもいかないし、勝手に仕事をするのもどうかと思い暇を持て余していた

審神者様には、記憶を思い出すために時間を作るのも良いが、ゆっくり休むと良いと言われたけど
普段と違う本丸だからか慣れない

何か持ってこれば良かったな...

もうすぐ3時だ
私の本丸では"3時のおやつ"だ

ちょうど机にポットと茶葉が置いてあるし、お茶でも淹れようかな

湯飲みと急須を用意していると三日月さんがやってきた

「茶の時間か？」

『はい。私の本丸では3時にみんなでお菓子を食べながら雑談をしたり休憩するんです』

「そうか」

『つい癖がついてるみたいです』

「本丸が恋しいか？」

『...そうですね。みんなと一緒に居れないのは少し寂しいです』

きっとそう思うのは、いつも当たり前のように、みんなと居るからだろう

「ならば、俺がお主の傍に居よう」

『え？』

隣に座り優しく頬笑む三日月さん

「じじいが話し相手になろう」

『でも、三日月さんにも用事があるんじゃ...』

「ちょうど、共に茶を飲もうと思うていたところだ」

『そうでしたか。じゃあ、お茶を淹れますね』

「うむ。世話をかけるな」

『いえ』

今日は天気がいいから縁側でお茶をすることにした

『良い天気ですね』

「うむ。絶好の茶飲み日和だ」

この本丸の縁側は、私の本丸と雰囲気が似ているからか落ち着く

「不思議だ。こうしてお主と茶を飲むことが懐かしく思う」

『なんだか私も落ち着きます』

三日月さん、少しずつ思い出しているんだな

「俺が思い出すことは全て、お主のことばかりだ」

『わ、私のことですか？』

「俺は、もしかするとお主に惹かれていたのかもしれん」

『えっ...』

三日月さんが私を？
いやいや、あり得ない

『か、からかわないで下さい』

「からかってなどいない」

『きっと、その人は私じゃないですよ。記憶間違え＿＿』

「でなければ、こんなにも愛おしく思わないだろう」

『...っ！』

私の頬を優しく撫でる三日月さん

「A...」

『三日月さん...』

～～♪

三日月さんと話していると私のスマホが鳴った

『あっ、電話...』

「主か...見張っているかのようだな」

『あ、あの、失礼します！』

三日月さんとの気まずい空気を
電話を理由にし私は縁側を後にした

「このような気持ちを思い出すとはな。やっかいだ...」