第22話 ページ23
噂をすればと言うやつだ
「先程のげーむか？」
『こ、これは！栞さんがあまりに言うので、ダウンロードをしただけです！』
「ん？これは先程、俺がお主にしたかべどんだな」
『は、はい...』
ゲームを横から覗く三日月さん
三日月さんにとっては、栞さんに頼まれて軽い遊びだっただろうが、経験のない私からしたらとんでもないことだ
「あのおなごは、かべどんは皆されたいと思っていると言っていたが、お主はどうだった？」
『えっ！？』
「ときめいたか？」
『ど、ドキドキはしました...』
「はっはっは。そうか」
『....』
三日月さんの顔が、まともに見れない
「A」
『は、はい！』
「そのげーむは楽しいか？」
『え？』
「その男が、それほど良いのか？」
『ど、どうしてですか？』
「先程から俺の顔を見ないではないか」
『だ、だって...今、三日月さんの顔を見たら、さっきのことを思い出して上手く話せない気がして...』
「それだけか？」
『はい』
「俺は嫌われたのかと思うたぞ」
『そんなこと！』
「やっと、顔を見せてくれたな」
『...っ！』
優しく頬笑む三日月さん
「上手く話せなくとも良い。俺はお主と共に居る時間が楽しいからな」
『わ、私も...です』
「はっはっは。それは良かった」
『ふふ...』
「しかしお主が、少女漫画が好きだったとはな」
『少女漫画を知ってるんですか？』
「前に来ていた見習いが読んでいたな」
『そうなんですか』
「俺にはよく分からなかったが、その見習いは楽しそうに読んでいたな」
懐かしそうに見習いの話をする三日月さん
前までなら、普通に聞けてたのに何故だろう
モヤモヤする
「どうした？」
『い、いえ！何でもありません』
「そうか」
三日月さんは、他の人にも私と同じように接していたのだろうか
そんな話聞けるわけない
聞いたら後悔する
そんな気がした
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年8月2日 1時
