宵の明星を追う [TXT ︰ YJ SB] (ページ6)

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AUDITION
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ついにその日が来た。

やっぱり昨日の夜はあまり眠れなかったけれど、緊張のせいか頭はすっきりしてる。

昨日と同じ女性がホテルまで迎えに来てくれる。

『いよいよですね、がんばって。』

「はい！ありがとうございます。」

彼女の笑顔にほんの少し緊張が解ける。

気付けば会社に到着していた。

ていうか、デカすぎる……………………。

そびえ立つHYBEの社屋は、写真で見るよりもずっと大きい。

上を見上げる私に彼女が声を掛けた。

『首が痛くなっちゃいますよ…笑

それと、オーディションには私も通訳として同席します。

私が先に入るので、呼ばれたら入室してください。』

「とっても心強いです…。ありがとうございます。」

彼女がいるなら安心できる…。

『じゃあ…行きましょうか。』

彼女の後ろについて社内を歩く。

みんなここで働いてるんだ…。すごいな……。

キョロキョロと見渡しながら歩いているといつの間にか部屋の前に到着していた。

先に中に入った彼女を見送る。

一人になったドアの前で大きく深呼吸をする。

できることを全部やろう。

今までの練習、先生の言葉、色んなことを思い出す。

『Aさーん、どうぞー』

中から聞こえた声に応える様に人知れず小さく頷いた。

ドアを開いて、1歩踏み出す。

「(え…、)」

声にならない小さな声が思わず洩れた。

入った瞬間に見渡した部屋の中には、横に長い大きな机の向こう側に十数人の大人たち。

その中、端に座る1人が真っ先に目に入った。

机の上の資料に落とす視線は真剣で、組んだ脚はスラリと長い。

⸺⸺ヨンジュン…？

「(なんで…。うそ…。)」

こういうオーディションにアーティストが来るなんて……。
番組の演出でしかありえないと思っていた。

思わず目が離せなくなりそうになる。

『じゃあ、始めていきましょうか。

最初に自己紹介からお願いします。』

現実に引き戻すように、他の人の声が聞こえた。

気を取られている場合じゃない、ついに始まるんだ。