宵の明星を追う [TXT ︰ YJ SB] (ページ5)

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話を初めて聞いた日から約1ヶ月後、私は今韓国にいる。

一応勉強はしたけれど、空港の中の至る所にあるハングルは正直あまり読めない。

ひとりぼっちで異国の地にいることを実感し、更に緊張が高まる。

「連絡があるはずなんだけどな…、」

寂しさを紛らわせるかのように独り言を洩らした時、事務所から連絡がきた。

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『Aさんは韓国にいらっしゃったことはあるんですか？』

「それが無くて……さすがに緊張してます笑」

迎えに来てくれた事務所の方は日本人の女性で、市内へ向かう車の中では打ち解けて会話を楽しむことができた。

『今日はこのままホテルに向かいますね。

オーディションは明日行いますので、またその時に迎えに行きます。

慣れない地でなかなか落ち着かないかもしれませんが、ゆっくり休んでくださいね。』

彼女の言葉によって更に現実味が増していく。

押し寄せる緊張感と、彼女の暖かい言葉への感謝で何度も頷くことしか出来なかった。

日本よりも少し季節が進んでいるように見える街並みが車窓に流れていくのを見つめる。