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「アンタのせいでママが死んじゃったんだよ!!!お前みたいなクソ野郎にママは死ぬほど傷つけられたんだ!!!」


「はい、カットでーす」

カットの声と一緒に膝から崩れる

「ううう、しんどい...。」

母親が殺された娘役で、ヒステリックに叫ぶように指示がでてたけど普段太陽みたいに暖かい日和君とニコニコ過ごしてるからこそこのセリフはハードルが高かった。

役としても、誰かに向かって暴言を吐くのは日和君ぽく言えば"悪い日和"だ。正直だいぶん気分が悪くなった。

そんなわけでその場で膝立ちのまま深呼吸をしていると、マネージャーが駆けつけてきてくれて

「Aさん、少し休みましょう。監督からも少し休憩してもいいと許可を貰ったので今のうちに英気を養ってきてください」

なんて言うけど、英気...??

首を傾げれば、耳元でコソッと彼の名前を囁かれる

「日和さん」

「あっ!ありがとう、ちょっと電話してくる」

マネージャーの気遣いもあって休憩に入れたためカメラが向かっているところから離れて、日和君に電話をかけるとびっくりするぐらいすぐに出てくれた。

「わ、もしもし日和君?」

『Aちゃん!!君から連絡してくれるなんて珍しいね!』

電話越しに日和君の声を聞いて心が綻んでいくような感じがした。

「ドラマで悪口を言わなくちゃいけなくて、少し辛くなったの。それで休憩をもらって...」

『僕に電話をくれたんだね!』

「うん、でもちょっと日和君の声聞いただけで幸せパワーが満タンになったよ」

『うんうん!そうだよね!悪口を言うのはストレスが溜まるかもしれないけど、帰ったら僕がぎゅうぎゅうしてAちゃんを癒してあげるから楽しみにしてるんだね!』

「うん、お仕事中にごめんなさい。日和君もお仕事頑張ってね」

『もちろんだね!じゃあまたね!』

電話が終わるとちょうどマネージャーに声をかけられた。

「元気もらえましたか?」

「はい!気を使わせてしまってすみません...」

「いえ、全然。むしろ監督さんが花橋さんは役作りが上手いからリテイクが少なくて助かるとおっしゃってましたよ」

「そうおっしゃってくださるなんて、嬉しい限りです」

「では撮影に戻りましょう」

______

「おひいさんAさんのことが好きなのは嫌なぐらい伝わってくるんすけど、さすがにもうちょっと声控えてくださいよぉ」

「Aちゃんから電話がかかってきたんだから仕方ないね!家に帰るのが楽しみだねっ!いい日和!」

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作者名:悪者 | 作成日時:2021年12月28日 17時

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