約束の月と、鍵盤 (ページ12)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:4,675 hit

12 ページ12

.

校内に響く授業の終わりを知らせるチャイム。

もうすぐで帰れると一斉に騒がしくなるクラスメイトを横目に私はいつも場所へ足を運んだ。

「先生、今日も…」

閉められたドアに手をかけ細い窓ガラスから室内を見て思わず手が止まった。

“ ユンギ先生って生徒と付き合ってるらしいよ “

今までそれはただの噂で、信じてなんていなかったのに。

「…本当だったんだ」

ただユンギ先生と女の子が座ってるだけなら何とも思わなかったかもしれない。

私の目が捉えたのは先生から女の子に唇を重ねた姿だった。

「ははっ…タイミングわる」

思わず笑ってしまった。

あんな光景を見てしまう自分のタイミングの悪さも何故か胸がチクリとしたことも。

TH「A？」

「あ…テヒョン」

TH「次移動教室…じゃないよね？」

「えへへ。またサボろうと思ったんだけど」

先生が生徒とキスしてたなんて言えるはずもなくて。

「今日はだめって追い返されちゃった」

TH「…もう今日は帰っちゃう？」

「それはやだ」

TH「じゃあ一緒に教室戻ろ」

「うん」

テヒョンの冗談に甘えていればよかった。

先生に腕を掴まれた時、私は酷く後悔した。

.