第3話 宝石が丘学園について ページ5
「はいみんな、改めて入学おめでとう。
いきなりの廃校話にざわつくのもわかるが、一度忘れて……
いや、これは台本じゃないぞ、俺がしゃべってる、いいな」
「これ仕切り直せるやつなんだ…」
荒木先生が姿勢を直して設置されたマイクと向き合う。
自然と姿勢が良くなる生徒がいる中、話は続いた。
「さて、都内の喧騒から離れた、自然豊かな学園都市。
声優の聖地とも言われ、あらゆるカルチャーへの理解がある。
それがここ、宝石が丘学園の建つ、十王子市だ」
この学園は、宝石が丘市という場所だからこの名がついたわけではない。
一応学校前に、宝石が丘と呼ばれる丘がある。
けど、どちらかといえば坂であり、名も後付けされたものだ。
その後も先生の、先生らしい言葉が続きシステムの説明もあった。
ざっくり言うとユニットシステムの話。
実力ある宝石が丘の声優は大体がユニットに入っているだろう。
トップユニットのPrid'sのメンバーも、思いっきり近くにいる。
そしてその名は3歩歩いたら忘れるだろう…。
ごめん。
「ここまでの話について、質問ある人?
ないね、じゃあ10分休憩!
あー、そこの特待生、ちょっと来なさい」
名指しで呼ばれ、視線が集まる。
徐々に姿勢を崩し始める生徒がいる中、私は立ち上がった。
これ、特待生って名目で面倒ごとを押し付けられるやつだ…。
私は入学早々、ため息を吐いた。
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作者名:伊織するめ | 作成日時:2019年9月6日 0時