84話 ページ39
「『王冠と英雄自身は王になれない』、これはちょっとおかしな文章だ。英雄はまだしも、王冠はモノだからね。そもそも王様になれるものじゃないでしょ？ということは……『王冠』と『英雄』は比喩で、この二つはヒトを表していると考えるのが自然だ。すると先ほどの言い伝えはこう再解釈できる。『エデンの真なる王になるには、二人の人間に認められる必要がある。そしてその二人自身は王にはなれない』……アクシア君、ここまではいい？」
「うん。大丈夫だよエバさん」
「よかった。では次に、『エデンの真なる王』とは何なのか。ここで思い出して欲しいのが、エデン神話の内容だ。もちろん旧約聖書じゃなく、この街の方ね。神話にはこうある。『──"常若の園"への道は
「……つまり？」
「つまり……言い伝えの内容はこうだ。『正統なエデン王の血を引いた者は、王冠たる人間と英雄たる人間の二人に認められることで、"常若の園"へ足を踏み入れることができる』。そしてそのうちの片方、ここで言う『王冠たる人間』というのは……君のことなんじゃないかい？アクシア君」
少しの間、しん、とその場が静まり返る。心臓の音が、やけに大きくオリバーの鼓膜に響いた。ごくりと苦い唾を飲み込む。やがて──アクシアはぱっと手を広げ、にぱーっと輝かんばかりに笑ってみせた。
「凄いよエバさん！いや〜、やっぱエバさんにはわかっちゃうかぁ！」
「て、ことは……」
「アタリだよ、エバさん。でもまだ半分。残り半分……『英雄たる人間』と『真なる王』についてはどう思ってる？」
「『英雄たる人間』についてなら、なんとなく予想がついてるよ。……ローレン、じゃない？」
「どうしてそう思う？」
「君のラストネームである"
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作者名：七福 | 作成日時：2023年3月12日 17時
