【2j3j】エデン妖精譚Ⅱ (ページ11)

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56話ページ11

「都市警備部隊だ！全員大人しく手を挙げろ！！！」

どやどやと部屋の外が騒がしくなり、やがてバァンとけたたましい音を立てて開いた扉から警備部隊員たちがなだれ込んでくる。部隊の指揮を執るのはローレンさんだ。男やボディーガードは慌てて立ち上がったがすでに遅く、銃を持った隊員たちに包囲されてはなすすべも無い。

「この部屋での会話は最初からすべて、都市警備部隊および公安局が聞いている。年貢の納め時だ、諦めてお縄につきな」

銃を構えたままローレンさんがそう言うと、男は大きな舌打ちをしてこちらを振り向く。

「クソガキども、都市警備部隊とグルだったか……！」

言うが早いか、腰から何かを取り出して私のほうへ向ける。拳銃だ。銃口を目の前に突きつけられて、私の身体は石にでもなってしまったかのように動かない。

「てめぇ……っ！隠し持ってやがったか！」
「せっかくのビジネスが台無しだ。命の恩人にこんなことをするのは心苦しいが……死にな、お嬢さん」

引き金にかかる指に力が込められる。心臓はバクバクと忙しなく動いているのに、身体はピクリとも動かせない。まるで蛇に睨まれた蛙だ。
ローレンさんが男を取り押さえるよりほんの少し早く、銃弾が放たれる。
動けない私の目の前に、誰かの影が飛び出してきた。ズン、と着弾の衝撃は伝わってくるのに、痛みはいつまで経ってもやって来ない。……恐る恐る目を開ける。

「…………！アクシアさん！！！」
「痛(い)っ……ぐ、うぅ……っ！」

私を抱きしめて庇うような形で、アクシアさんが目の前に覆いかぶさっていた。銃弾はアクシアさんの背中に当たったのだ。
真っ青になって言葉を失う私に、彼もまた痛みに青ざめた顔で「平気やって」と笑う。その背後で、男が何人もの都市警備部隊員たちに取り押さえられていた。