第7話 ページ8
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その言葉は、何の躊躇もなしに突如弾丸の如く発せられた。
『…………』
「家も服も家具も携帯もカード類も、俺が吹き飛ばしちまった手前のモンを全部俺の自費で弁償する」
男は空気に耐えきれなかったのか、将又コントロールが効かなくなったのか、後にも引けず又しても口を開く。
先程とは打って変わっての多弁だ。
その顔には、「俺何言ってんだ」
と親切に読みやすい字で書いてあった。
「俺が此処に、手前の家を建てるから」
俺が此処に、手前の家を建てる
互いの耳に、そのお熱い言葉が佳く響いた。
馬鹿にする様にエコーで繰り返される。
繰り返される。
「……、」
その後、男はシン、と熱が収まった様に動かなくなった。
『プロポーズ？』
「ごッ、」
どうした。
普通に違うって否定すれば善いでしょ。
私は『弁償かあ』と全く盲点だった当然の選択肢に天を仰いだ。
『本当に弁償してくれるの？』
「……当ッたり前だろ！？普通手前は俺を責めて警察に突き出して多額の金を手に入れて応酬する位しねェと」
『…ふうん、本当に全部？』
ピタリと口が止まる
男は「え」と口を開けたまま私を見た
『引越し二日目』
『新築夢のマイホーム』
『ローン三十五年』
『注文住宅』
『バイト四箇所七年働き』
男の目が泳ぐ
『これからの時間とお金と努力の結晶』
『契約先友達の連絡先が入った携帯電話』
『一生を契約する印の押してある書類』
『金利パスポートお店のカード類』
男の顔が青くなる
『冷蔵庫にトースター』
『長年連れ添った小型テレビ』
『ブランド物の洋服』
『思い出の詰まったアルバム』
男が頭を抱える
『帰る所の無い恐怖』
『残された二百十七円』
『昨日の残りのポテトサラダ』
『夜な夜な聞こえる女の子の声』
男は顔を上げ眉を曲げる
「…ん？」
『全て貴方に弁償出来ますかね、マフィアの幹部さん』
その後男は我に返ったように「やっぱ無理かも」と顔を覆い、どよんとした空気を醸し出した。
けれど覚悟を決めたのだろう。
「……手前、名前は？」
『え？家に名前なんて』
「手前のだよ！！！…っ、これからは、名前が必要だろ。マフィアの幹部ッて呼ばれ続けるのはむず痒いし」
男はそう云うと首を抑えながら云った。
「俺は中原中也だ」
『ああ、えっと、私は
中原中也さん。
なんて中中している名前なんだ。と思ったのは胸に秘めておこう。
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (
レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか？設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか？なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ！！！ (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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