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第30話 ページ31

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「ほら湧いた」


突如舞いかかった清らかなノック音
焦った私に対する中原さんは──。

待っていた、とでも云う様にガラリと態度を変えて、挑戦的に窓へと視線を送っていた。


『は?』


本日二度目の、間の抜けた声。
いとも簡単に開放された自由に何故か困惑しながらも、ちらりと窓の外を盗み見た。

其処に居たのは。


「見せ付けるにしては長すぎじゃあないかな」

『……なんで』


聞いた事のある声。と云うか、朝も聞いた声。私の上から退いて、其方を睨む中原さんに映る男。

それは何時でも飄々とした長身の──


『太宰さん、?』

「手前太宰、よくもンな大層な “盗聴器” 、仕掛けてくれたな」

「だって好きな子が蛞蝓の寝巻きで彷徨いて居るのだよ?そりゃあもう内情を探るしかないよね」


は、盗聴器?
何とも聞き捨てならない単語が目の前を飛び交って私の頭の中ははてなだらけ。……って、───あれ?


『え?』

「は?」

「あれ?」


3人が顔を見合わせる。


「君達、どう云う関係?」

得意気な顔で中原さんを挑発していた太宰さんも。


「好きな子だァ?何で手前Aの事……」

ケロリと変わって小型の機械を手にする中原さんも。


『お二人共、知り合いなんですか』

先程まで瀕死状態だった私も。



顔を見合わせ重なる声



「私はAちゃんのお得意様だからねえ」

『違います。お店のです。
で、私と中原さんは被害者と…』

「………加害者」


太宰さんを否定して中原さんを一瞥すると、小さな声は申し訳なさそうに罪を認め呟いた。
それを見た太宰さんはぽかんとして、次には腹を抱えだす。


「ぷっ、ははは!え?何?ごめ、もう一回云っ、はは、え?加害者だって?」

「煩ッせェ!!!死なすぞ!!」


まあそりゃあ笑われるよ。
だって、家を吹き飛ばしましただなんて、誰も信じてはくれないだろう。



「──まずまずの元凶は手前だろ!こンの社会不適者包帯野郎が!」

「ええー?私が中也の加害の元凶だって?帽子語で話されても私判んなあい」


2人の喧嘩で状況がよく分からなくなった。まあ知り合いって事でしょう。
なので私は二人が言い争っている内に颯爽と車から降りる。何てったって今は仕事中ですから。之は逃げるが勝ちだ。


「はァ!?忘れたとは云わせねェぞ。手前「心中を断られた」の何だので俺に嫌がらせしに来たろ!」

「嗚呼あれね。
だってさあ、Aちゃん、全然相手にしてくれなかったんだもの」

『え?』

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高澤白 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月6日 22時

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