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第25話 ページ26

「はは、昨晩て」


記憶違いじゃ無ェなら家には二人。夜もAと俺だけで過ごした筈だ。
家に通したのもAだけ。云ってしまえば昨日の記憶にもAしか居ねェし。



「……芥川、手前素面だよな?」

「笑止。中原さんは僕が飲酒の上で職に出向いたと思われで?」

「いや」


俺じゃあるまいし
それに芥川に限ってそれはねェよな…。

と、ふと神妙な声色の芥川を否定した所でささやかな疑問が浮かんだ。

それは、玄関に置いてあったから何となしに手にしたこの会議資料。自らが握る極秘資料は______さて、この資料は一体誰が届けたンだ?と



「夜遅く失礼しました。___昨晩は酷く酔われて居ましたので」



つらつらと喋りだす芥川。
空いた口が塞がらない。

昨晩は酷く酔われて居ました?
誰が、俺が?何でそれを

続いて悩んだ仕草を取った芥川は決心したのか、俺を見ながら手を退かしたと思ったら


「_____Aさん、と云居ましたか。
中原さんの様な方がどの様にあの様な女性を____」

「ちょちょちょちょっと待て!」


そう云った。

確実に鮮明に澱みなくそう云った。

酷い汗が毛穴という毛穴から吹き出しそう。いや、もう遅い。何を平然と語るかと思ったらそンな事か________は、


「え?や、否、芥川、手前Aに会ったのか?昨日俺ン家で手前が?」

「会うも何も飛び出てきたのはAさ」

「ちょ、待、ちょまっ、ちょ、云うな!」


右手を突き出し顔を覆った。
やめろ、やめてくれ、頼むからAの名前をその平然とした顔で連絡通路のド真ん中で然も羅生門と顔を見合わせて云うな

喉が引っ付くように乾く。

嗚呼、どうしてくれる?家を破壊した事がバレたか?否、Aは絶対に他言しねェし、と云うか俺の知らねェうちに芥川が?待て落ち着け俺。その前に弁解が必要だろ


「芥川、落ち着け、善く聞けよ、Aは、……あの、う、か、彼女とかそう云うンじゃねェから!!」

「中原さん、耳だけ赤らんでいますが」


ごほごほと咳をする芥川は「然して僕はまだ何も云って居りません」と口元を抑えた

なので上気した顔のまま、踵を返した
わなわなと口を震わせる暇もなく其処へ向かう。

扉に近づくと、中からは「ケェキを買ってきてあげるから!」と中年の声がした

もう、これ以上誤解を生むのは御免だ。
だから縋る思いでノックもせずに扉に飛び込んだ


「首領、失礼します。無礼とは承知の上ですが、その…今すぐ俺に横浜の土地を下さい……!!」

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高澤白 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月6日 22時

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