第24話 ページ25
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本当に無理やり連れてこられた太宰さん宅。
確かに借りた服のままは不味い、とお言葉に甘えて脱衣所を貸して貰った_____のだが
「ところで、」
ぎくり。
何処か核心を突いた声と手は、玄関に向かおうとした私の足を止めた。
礼儀知らずだって?確かに脱衣所は借りました。でもね、お客様のお部屋に留まる方が拙いから私は即座に帰らせて頂きます。はい。
『すみません。お邪魔しました。脱衣所お貸しして頂いてありがとうございました。またお店に来てくださいね』
「やっぱり少し色気づいた?」
私の意見なんてお気になさらず。
掴まれた手首を見詰めて、ひたり、と冷や汗が流れた気がした
『お年頃の女が色付くのは何一つ不自然では無いのですが』
「何時もはこれ位じゃ目を逸らさないのに今日はどうして?」
ずい、と顔を近づける太宰さん。
その瞳に頭の奥底まで見透かされている気がして
『誰しも貴方の様な男性に近付かれては目を逸らすと思いますが』
「ヘえ?じゃあ何で寝巻きでウロチョロしてたの?」
『え”?ああ、あえっと』
非常に恐ろしい。ピンチって奴だ。目が泳ぐ泳ぐ。
扉に追い詰められて『それは、気分です』なんて渋ってからお茶を濁らせた。
『…気分、ですよ?』
沈黙に耐えかねてもう一度。…流石に無理があった、なんて判っているんだよ。だからもう聞くな。
けれど私がどれだけそう唱えたって
「_____何か疚しいことでもあったの?」
ーー疚しいこと。
何とも的確な剣が私の心臓を突き刺した。
もう硬直せざるを得なくって。何故なら香る髪と握ったパジャマが動かぬ証拠となって、その言葉が私の頭の鐘を鳴らすんだから
『だっ、だから太宰さんには関係無いって云って居るでしょう!!』
我に返って糾合した。
ふと、背に触れたドアノブを一気に押し開け勢いで飛び出し勢いで閉める。バタンッ!!と壊れそうな勢いで閉まったのが吉。私は一目散に走り出して地を蹴った。
疚しいこと何て一つも無いのに。
「______気分で蛞蝓の寝巻き、ねえ」
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「(最ッ悪だ)」
どうしたものか。
今日の会議の資料を手にしては居るのだが、内容が全くと云って善い程入って来ない。
何故なら顔を真っ赤にさせて家を飛び出たAが気がかりな上、唯唯罪悪感が襲いかかったから
「中原さん」
「おう芥川、どうした?」
「昨晩はその後沈着致しましたか」
「……ん?」
昨晩?
芥川、手前、今昨晩ッつったか。
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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