晴れ ページ11
「またね」の一言だけで善かったのに
「またね」と云いたかっただけなのに。
落胆した先に見えたのは_____
『そうしたら“あの人”、振り向きもしないで手を振ってくれたんですよ!?手を!ヒラヒラさせて!格好良すぎ』
『ちょ、落ち着いて下さ』
『また振り向かないって所が善いですよね!例え「またね」は伝わっていなくても結果オーライで___』
『A!!!!!』
『はひい!?』
電話越しでビシッと気を付けの姿勢をとった。
凛とした声は鼓膜で延々に振動し、私の返事も随分間抜けなものになってしまった
おはよう、晴天の朝。
『…貴方今何処にいるのか判って居ますか?
『え?……あー、はは、そうでしたあ』
笑顔を引きつらせ無意識に周りを見渡した。
アンティーク調で飾られた応接室は何の物音もしない優雅な空間で。目前に飾られている壺や絵画は何処ぞの美術館から盗み出したものか、と疑いたくなる代物である。
『そうでしたあ、じゃないですよ』
貴方が失敗すれば異能特務科にも罅が入りますからね、と電話を切られ苦笑いを浮かべた。
こりゃあ安吾さん怒だわ。
だってしょうがないじゃない?格好よかったんだもの。
ちぇっ、と、口を尖らせ一息ついた。私は今日は『警視監』として警視総監サマの直属の内務大臣と面会らしい。
何についてか、なんて考えるだけでも重苦しい。
「あーあ…雨振らないかな」
面会なんぞ鬱の根源だ。
言葉だけを見て聞いて理解しろと説く会議は更に破滅すれば善いと思うけど。
と、其処へ華麗なノック音が響く。同時にピカピカに輝く革靴が視界の端に映った。
「日外くん」
「…あー、こんにちは」
あ、今「こんにちはじゃないでしょう!」と血筋を立てる安吾さんが見えた。
危ない危ない。そうじゃあ無いよね。うん。判って居ますー、と考えながら男に向き合う
その男はおろしたてかと見紛う秀麗な背広を纏い、きっと
「今日は宜しくお願い致しますね」
そうだ、之だ。
笑顔で会釈をし相手を見る。
「こちらこそ頼むよ
そうそう、何故君はエリートながらに内務省の嫌われ役を買って出てくれている異能特務科に所属し続けているのだね?」
椅子に座ると、男はそう一言云い放った
390人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にんじんさん。(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…! (2019年6月4日 16時) (レス) id: 13fcb4bada (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あなたもしや…、中也推しですか!? (2019年1月7日 0時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 白井なでしこさん» コメントありがとうございます。ありがたい言葉ばかり並んでおりますね笑とにかくありがとうございます!頑張ります! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 月ノ輪さん» ひゃー、お世辞でも嬉しすぎます…。前作もありがとうございます!そのコメントだけで次も頑張れますので期待に応えられるように書いていきますね!コメントありがとうございました!! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - ユーナ橘さん» ありがとうございます…!少しでも雨に対する思いが伝わればいいな〜と思います。こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございました! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ