2、銀の瞳の女 ページ4
[パチリ]
「おい、目開けた、ぞ・・・」
思わず言葉に詰まった。
周りのやつらも皆息を飲んだのがわかる。
その女はとても美しい
何もかもを写す鏡のような
透明な銀色の目をしていた。
その目に映る俺は、ひどくねじれて、歪んでいて。
本能が警報を鳴らす。
この女の瞳を見ていたら「喰われてしまう」と。
[パチリ]
女がもう一度瞬きすると鏡のように光っていた目は深海のような濁った紺色になっていた。
「見間違い、か・・・?」
どうやらそう見えたのは俺だけじゃないらしく他の奴らも皆、首をかしげている。
「大丈夫?私はヴィル・シェーンハイト。貴方、名前は?」
沈黙に耐えかねたよう手を差し伸べたのはヴィルの野郎だった。
気取ったように片膝をついて手を差し出すその仕草は映画のワンシーンのように大げさで芝居がかっ
ている。
でもそれに違和感がないのはアイツの努力の賜物だろう。
「ん?ごめんなさい、聞こえないのだけど。」
差し伸べられた手を取り、よろけながらも必死にしがみつき起き上がる女。
そいつは何かを伝えるように口を開けたり閉めたりしている。
「もしかして君、声が出ないのかい?」
信じられない物でも見たような目で女を見つめる赤髪。
・・・いや待て、声が出ない?
[バーン!]
「「「「!?」」」」
どうやら行方不明だった学園長が帰ってきたらしい。
ったく。
「めんどくせーな。」
ぼそりと呟かれた言葉は誰にも拾われることなく消えていった
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クルル(プロフ) - 麗さん» ご報告ありがとうございます・・・!今後も見つけたら行って下さるとありがたいです。 (2021年1月29日 11時) (レス) id: 5254ebaae5 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 44ページ (人2) と変換出来てないところあります (2021年1月29日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - マーニャさんに褒めて頂けるなんて光栄です!更新遅いですがこれからもよろしくお願いします! (2020年7月26日 19時) (レス) id: 5254ebaae5 (このIDを非表示/違反報告)
マーニャ(プロフ) - コメント失礼します!すっごい素敵なお話で心が満たされています。こんな作品を作ってくださった作者様に感謝です!これからも頑張ってください! (2020年7月26日 7時) (レス) id: 797d2622a3 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - こちらもよろしくお願いいたします。『陸に恋した人魚姫』(番外編)https://uranai.nosv.org/u.php/novel/1125kururu0/ (2020年4月29日 21時) (レス) id: c58f3a9ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クルル | 作成日時:2020年4月15日 18時